液状化被害の今
能登半島沖地震から8か月がたちました。
新潟市内でも液状化による大きな被害がでたことは、連日のニュースで周知されています。
被害にあったお宅は、現在どのような状況なのでしょう。
私が新潟市内で動いて確認している限り、まさに今復旧工事がフル稼働しています。
道路被害については、大きい道路から順に修理が進んでいます。
車で通れない道はかなり減ったように感じます。
住宅の復旧状況については、あちこちで復旧工事または解体・建て替え工事を見かけます。
逆に、傾いたままですがお住まいになっているような住宅もよく見かけます。
復旧工事は大きな費用が発生するもの、対応状況や進捗については個人間で大きな差があるのが現状のようです。
「アンダーピニング工法」による復旧工事
弊社で施工させていただいたお家の復旧工事も進んでいます。
こちらは住宅全体が傾くという被害をうけました。
被害状況を調査し、傾きを計測します。
被害状況から、施工性・コスト・将来的な安全性を勘案して工事方法を検討しました。
今回は「アンダーピニング工法」を採用。
ざっくりいうと家の周りに穴を掘って、その穴から鋼製の杭を打ち込んで住宅を持ち上げつつ、
住宅を支持する工法です。
鋼製杭が住宅基礎から支持地盤まで伸びるため、地盤改良杭のように建物を支持し、
再度の液状化現象にも有効であると考えています。
上の図のようにすると簡単に見えますが、施工は超ハードです。
実際の施工現場
まずは人力で家の周りに穴を掘ります。
穴から建物の下へと侵入。
横穴を掘って建物の各部へと掘り進んでいきます。
少し掘っては袋に詰めて外に出すを繰り返します。掘った土もとんでもない量です。
計画のポイントに達すると、そこに特殊な施工機器で杭を打ち込んでいきます。
今回は8m深さほどまで杭を打ち込んで、支持地盤まで到達させました。
支持地盤まで杭が到達したら、杭の頭にジャッキを装着して建物をあげていきます。
連日の猛暑、スコールのようなどしゃ降り、人力での広範囲な穴掘り、建物下の狭い場所での作業、
かなりハードな施工です。
またある程度掘ると地下水が染み出てきました。
地下水がでると堀った穴がくずれたり、作業ができなかったりと支障があるため、
常にポンプで排水しながらの作業となりました。
いよいよこれから建物をあげて平らにする作業へと進んでいきます。
地震被害からの復旧工事は今まさに最盛期です。
職人さんもひっぱりだこで、施工することが決まってもなかなか来れない状況が続いています。
地震被害の報道はかつてより減っていますが、現場では職人さんたちが生活を守るために奮闘しています。
一日も早く、たくさんの方の生活が落ち着くことを祈っています。