自然と静けさに包まれて 夫婦と猫の丁寧な暮らし「聖籠の平屋」
自然と静けさに包まれて 夫婦と猫の丁寧な暮らし「聖籠の平屋」
設計:阿部 誠治 監督:刈谷 裕樹
- 設計コンセプト
- ゆったりとした時間が流れる川のほとりに、夫婦と猫が穏やかに暮らす平屋住宅を設計しました。
敷地からは稜線と河川の風景を望み、水鳥の姿が季節を告げるように舞います。
自然に抱かれるような開放感と、自分の世界に浸れる静けさの両方があります。
日々をリトリートのように過ごす、成熟した大人の暮らしの舞台です。
- 外観
- 敷地は約252坪。既存の駐車場や納屋を活かしながら、建物は北・西に寄せて配置。
東に前庭、南に主庭を配して、アプローチや室内から自然の風景を感じられるよう設計しました。
東側の前庭は、玄関アプローチ・和室・ポーチからの眺めを兼ね、
南側の主庭は河川と稜線へと視線が抜けるようグランドカバーを主体とした構成に。
訪れる人に、静けさと高揚感を同時に感じさせるような外構計画としています。
- 内観
- 中心に広がるのは、約25畳の勾配天井リビング。
南と東南に大きく開き、川と稜線の眺望を大胆に取り込んでいます。
天井は北へと高くなり、自然光が一日を通じてやわらかく回り込む設計です。
薪ストーブとピアノを配置した2m高の壁で空間にリズムを与え、
食器棚やパントリーも効率的に収めています。
一方、リビングに隣接する書斎はやや閉じた構成。
壁一面の棚に囲まれ、レコードを静かに聴くことができる、”自分だけの「籠もる時間」”が確保されています。
空間に強弱をつけることで、住まいに奥行きと静謐さが生まれました。
玄関近くの和室は、6畳+仏壇+押入付きの設え。
腰窓からは前庭が臨め、来客時の客間としても、ひとりで静かに過ごす部屋としても機能します。
障子越しの柔らかな光と、控えめな天井高が、落ち着きのある空気を醸し出す空間です。
さらに見どころのひとつが、十和田石と桧で仕上げた造作風呂。
浴室というよりも、まさに”癒しのための空間”として設計しました。
目にも肌にもやさしい自然素材に包まれ、日常の中で深くリラックスできる場所です。
玄関とポーチには、大谷石を床に使用。
控えめな光沢と表情豊かなテクスチャが、家の印象を静かに引き締めています。
訪れる人をやさしく迎え入れつつ、素材の持つ本物の質感が空間に品格を与えます。
- 建築データ
- ◆敷地面積:252.50坪
◆延床面積:28.75坪
◆Ua値:0.24
◆長期優良住宅認定
◆太陽光パネル搭載