メンテナンスへの不安
家を建てるとき、多くの人が心のどこかに「メンテナンスへの不安」を抱えています。
「できれば何もしないで、ずっと住み続けられたらいいのに」――そんな願いを持つ人も少なくありません。
けれど、これは幻想です。
車も家電も同じように、手入れをしながら使い続けるのが大原則。
家もまた、定期的なメンテナンスを前提に考えなければならないのです。

日本人の暮らしと時間の変化
昔に比べて労働時間は減り、余裕ができたはずの日本人。
しかし実際は共働きが増え、SNSやスマホに時間を奪われ、
「住宅にまで手間をかけたくない」という心理が強まっているように思います。
だからこそ、正しいメンテナンスの考え方を身につけることが大切です。
マンションに学ぶ修繕計画
参考になるのはマンションです。
マンションでは平均して月額13,000円の修繕積立金を徴収し、
エレベーターや外壁など大掛かりな工事に備えています。
一戸建て住宅はすべてを自分で管理しなければなりません。
例えば30坪程度の2階建て住宅なら、月額20,000円の積立が理想的です。
年間24万円、10年で240万円。
これくらいを目安にすると安心です。
修繕は10年ごとではなく「15年サイクル」
一般的に「10年ごとに有償メンテナンス」という情報をよく見ます。
それは住宅会社の都合という意味もあり、瑕疵担保責任が10年間が1つの区切りになるために、その点検調査に合わせて10年目の有償メンテナンス工事をすることが広く行われるような雰囲気になってます。
しかし、現実的な建物の劣化に伴う営繕はもう少し大きなタームで行われるのが適切だと考える。
つまり、15年サイクルが適切ではないかというのが私の意見です。
- 10〜15年目
エアコンや給湯器など、壊れやすい住宅設備は随時交換。
*エアコンは別の記事で解説したように夏冬の連続運転をしている場合は、短期で寿命になるケースが続出しています。幸運にも10年間持ったのであれば、「予防的営繕」として、不調になったら修理ではなく交換。不調でないにしても壊れる前に交換することも検討しましょう。サイディング外壁を使っているなら塗装で美観維持。
*サイディングは製品製品や色の違いで美観上の耐久性はかなりの差があるとされています。
美観と防水性能としての機能は、また別であることを踏まえ、どのタイミングでするのかは、個別さが大きそうです。 - 30年目
キッチン・浴室・洗面台などの住宅設備を更新。
内装を含めた大規模リニューアルを行うのがおすすめです。
このタイミングはちょうど、35歳で建てた家なら65歳。
子どもも巣立ち、第二の人生に入る頃。
仮住まいをして、思い切った模様替えや断捨離をするのにも最適です。
高齢期に向けた住まいの工夫
高齢になると「バリアフリー」が気になるところ。
お風呂やトイレに近い位置にベッドを移動させ、
ホテルのスイートルームのように使うのも一案です。

*Ai生成画像
そして何より重要なのは、断熱改修。
体への負担を軽減し、健康的に暮らすために欠かせません。
外構も忘れずに
意外と見落とされがちなのが庭の手入れ。
庭木の強剪定なども定期的に行うことで、住まい全体がすっきりと保たれます。
まとめ:計画的メンテナンスで安心の住まい
住宅は「建てたら終わり」ではなく、15年ごとに中規模・大規模なリニューアルを重ねるもの。
そのために、月額20,000円程度の積立をしておくのが賢明です。
メンテナンスを「恐怖」ではなく「計画」として捉えれば、
住まいはいつまでも快適に、そして安心して暮らせる場所であり続けます。
