浮き庭の家
浮き庭の家
設計:塩谷 英一 監督:アトリエ社・波潟 靖
- コンセプト
- 昔からの小さな商店が並ぶ、旧北陸道(北国街道)に面した立地。
街道では毎年お祭りも開かれ、往来ある町並みのにぎやかさに馴染むよう、街道に向かって閉じるのでなく、できるだけ開放的になるように計画しました。
伝統的な町並みにの中に現代的な家を構築するとともに、町並みとして場を継承したいと考えています。
町にとっても、住み手にとっても、
町の魅力を間近に楽しむための住宅でありながら、失われつつある町並みの風景を補い、その家のあり方が町の伝統にいくらかでも花を添え、町を引き立てる住宅でありたい、というふうに期待しています。
- 外観
- 間口が狭く奥行きがある、細長い敷地。
光が奥のほうまで届くよう、道から奥まで箱状のモノを高さをズラしながら段々に並べ、ひな壇のような構成にしています。
正面の街道に向かって全面的に開くことで、道、庭、室内という3つの世界がつながるようにしています。
庭に置いた最も低いひな壇の箱の屋根の上をデッキテラスとし、「浮いた庭」としています。
室内の2階リビング+ダイニング+キッチンと連続し、街道の傍らにある庭のような家ができることを期待しました。
- 内観
- 南側の庭に積極的に開いているため、庭のような室内が感じられます。
壁・天井のほとんどの仕上げを左官(珪藻土)で仕上げており、光の豊かさがより一層感じられます。屋根の段々をそのまま天井としているため、ひな壇の構成と、ひな壇のズレから入ってくる光を体感することができます。
庭に開く大開口を設けるとともに、壁面もしっかり設け、絵画を飾る背景としての壁面の機能をもたせており、自然光の当たる左官壁をふくめた大きく横に長い壁画のように感じられることを期待しています。
南側の大開口のほか、小さい窓、低くて長い窓、高くて長い窓など、視線を抜いたり隣地の緑や空を切り取って室内に取り込む工夫をしています。
ピアノを置くスペースはニッチとし、天井を構造梁の現しにすることで凹凸をつくり、音響に配慮しています。
- 建築データ
- ◆敷地面積:151.36 ㎡ 45.69 坪
◆延床面積:98.39 ㎡ 29.70 坪
◆Ua値:0.38 [W/㎡K]
◆空調方式:暖房用 床下 エアコン 4.0kW 、冷房用 壁掛 エアコン 4.0kW
◆太陽光パネル:4.08 kW