Vanguard House
Vanguard House
設計：阿部 誠治 監督：アトリエ社 波潟 靖
- コンセプト｜みずき野ヴァンガードハウス
- みずき野の静かな住宅街に建つ、小さな「先端的日常住宅」。
過度な装飾や特別な仕掛けではなく、暮らしの中でじわりと効いてくる工夫を積み重ねた家です。
敷地の中央に建物をそっと据えることで、どの方角の窓からも緑が見えるように計画しました。
南側には約7mのゆとりが生まれ、季節とともに移ろう光や庭の奥行きが、毎日の時間に静かな豊かさを添えてくれます。
使い勝手だけでなく、「ここに居たい」と思える居場所が、あちこちに散りばめられています。
窓辺の小さなヌック、庭を眺めるデスク、低く座って陽を感じるベンチ。
それらが家族の時間とともに、ゆっくりと家の愛着を育んでいきます。
- 外観｜親しみと端正さのあいだ
- 北側から見た姿は、シンメトリーの素朴な家型。
どこか懐かしく、けれど少し凛としている佇まいです。
東西に流れる切妻屋根は、十分な太陽光パネルを受け入れる形状。
環境性能と美しさが無理なく同居しています。
外壁は着色した杉板を基調に、玄関まわりは白壁として、
“ただいま”にそっと明るさとあたたかさを与える表情にまとめました。
南面には大きな窓を集め、光と熱を取り込みつつ、
北側の小さな洗面窓や出窓が、外観に控えめなリズムと個性を生んでいます。
- 内観｜コンパクトに、豊かな居場所を編み込む
- 玄関を入ると、シューズクロークとパントリーが動線よく繋がり、
暮らしに無理のない使い勝手が流れとして整えられています。
台所はⅡ型。
シンク側はリビングと向き合い、壁側にコンロ。
少し出窓になったカウンターには、小さな器や植物がそっと彩りを添えるでしょう。
リビング・ダイニングは約18畳。
大きくはない空間ですが、梁あらわしや吹き抜け、窓辺のベンチ、
西側の壁面のヌックと本棚など、断面的な変化と余白によって
「居たい場所」がいくつも生まれています。
階段を上がった先には、将来の子どものスペースとなる大きな余白。
洗面脱衣は天井を高くとり、朝の光が気持ちよく届く空間にしました。
家は、広さだけでは豊かにならない。
小さな余白と、窓辺と、緩やかなつながりが、暮らしに物語を生む。
この家はそのことを、そっと、優しく語りかけてくれるはずです。
