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ローマ探訪②/食文化と歴史の力

ケンチク巡礼
刈谷 裕樹刈谷 裕樹

ローマで見た食文化

朝早くからローマの市場を散策した。

並ぶ野菜や果物はどれも日本よりひと回り大きく、

農業環境や地域性の違いがそのまま表れているようだった。

旅中では朝から夜まで建築や芸術作品を巡り続けたものの、

決して食事を抜いていたわけではない。

移動の合間にはしっかりと食事を挟み、街の食文化を味わった。

ローマでは、店頭や歩道にテラス席が並ぶ外食スタイルが主流だ。

アル・フレスコ(屋外での食事)という文化が根付いており、

通りを歩くと人々がどんなものを食べているか自然と目に入ってくる。

朝はクロワッサンとカプチーノ。昼と夜はパスタかピザ。

まるで日本人が日常的に白米を食べるように、イタリア人は日常的にパスタを食べる。

伝統的な食文化を守る強い意識を感じた。

一方で、外食ではどこへ行ってもパスタやピザの選択肢が当たり前にあるため、

良くも悪くも「プライドがある」とも思った。

海外から見た日本といえば寿司や蕎麦が思い浮かぶが、

実際には日常的にそればかり食べているわけではないし、

家庭では「今日は何作ろう?」と献立を考える。

バリエーションという点では、日本は飽きを感じさせない国だろう。

本場のパスタやピザはとにかく美味しい。グルテン系は究極をいっている。

味付けはシンプルで、チーズ・卵・オリーブオイルなど素材そのものを生かしている。

驚いたのは、体の反応だ。

私が日本でグルテンを摂取をすると口元が荒れたりするのに、

ローマでは朝昼晩食べ続けても一切悪影響が出なかった。むしろ調子が良いくらいだった。

グルテンそのものの質が違うからだろうか。良質な油だからか。とても興味深い。

イタリア人は食べる量も多い。一人ピザ一枚が当たり前で前菜もつけている。

ただし会話をしながらゆっくりと食事を楽しむので、単に大食いというわけではなく、

「食事という時間を大切にしている」という印象を受けた。

普段の自分は食事に時間をかけないタイプだが、見直すきっかけになった。

偏食気味の自分でも、ローマは長期生活が合うかもしれない気もした。

圧倒される建築と歴史

前回のブログでは記載しなかったが、歴史ある建築物として、

パンテオンとコロッセオにも訪れた。

数千年前の構造物が街中に残り、今もその存在感を放ち続けているのは驚異的だ。

パンテオンは街中に堂々と佇み、正面に立つと圧倒される。

シンプルな円柱の連続と左右対称の構成は、建築的にも美しい。

中は残念ながら入れませんでした。

コロッセオは殺し合いが行われていた娯楽としての闘技場。

「人間は昔から、人が戦う姿を見るのが好きなのだな」と妙な感慨を覚えた。

帰ってからは映画「グラディエーター」を観ました。

建築的には、柱頭のデザインが階層ごとに変化している点が印象的だった。

下から ドリス → イオニア → コリント式

一級建築士試験で出題される要素を、自分の目でしっかり確認できたのは嬉しい。

柱間にあるアーチ構造は、上からの荷重を両側に分散する理にかなった設計です。

単純に石を積むよりも強度が高く、千年以上経った今も残っている理由の一つです。

当時の建築家が経験則だけでこれを理解し、実現していたことには驚かされます。

コロッセオ周辺に眠る遺跡や広場も探索。

どこを切り取っても絵になる。それが「歴史が生きている場所」なのだと思った。

行き残した場所も、理解しきれなかった歴史も山ほどある。

「無知の知」を痛感し、学生時代に世界史をもっと学んでおけば…と少し後悔もした。

それでも今から学べば遅くないし、興味を持ち始めた今こそ理解も深まるはずだ。

この知らないという感覚は大事にし、色々と学び直しながら、

またいつか必ず訪れようと思う。次は三大都市周遊で。

ということで、次回はポルトガル編へ続きます。

刈谷 裕樹
現場監督

刈谷 裕樹

建築部 二級建築士

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