書と住の交差点 ― 光と影の頁「沼垂の家A」
設計:阿部 誠治 監督:野口 一弥
- コンセプト
- 本を読む時間が好きなご家族のための住まいです。
ひとつの場所にとどまるのではなく、その時の気分や光の具合に合わせて、自然と居場所を選べるような家を考えました。
建物は南の庭を大切にしながら、母屋に対して少し角度を振った平屋の水回りが寄り添うかたちとしています。
その角度は、冬至の光の入り方を手がかりに決めたものです。
差し込む光は強く主張するものではなく、壁や天井にやわらかく受け止められ、時間とともに表情を変えていきます。
その移ろいが、日々の暮らしの中に静かな変化をもたらします。
読書のための特別な部屋をつくるのではなく、家のあちこちに小さな居場所を散りばめました。
ふと腰を下ろした場所が、そのまま“読む場所”になるような、そんな住まいです。
- 外観・庭
- 西側を正面とした切妻屋根の落ち着いた外観とし、母屋に対して角度を振った平屋ボリュームが付加されることでやわらかな変化を生んでいます。
平屋部分の白いそとん壁に沿って光が導かれ、室内へとやわらかく取り込まれます。
外壁は杉板着色(OSグレー)を基調とし、一部にそとん壁の白を組み合わせることで、素材の対比と陰影の奥行きをつくっています。
敷地は北・西の角地で、西側道路・北側道路にそれぞれ1台分の駐車スペースを配置しました。
これにより南側にまとまりのある庭を確保し、建物に対してゆとりのある外部空間が生まれています。
また北側は道路からのセットバックにより圧迫感を軽減したうえで、東側隣家と外壁ラインを揃えています。細やかな調整により街並みに対しても穏やかな佇まいとなりました。
- 内観
- LDKはひとつながりの空間としながらも、アルコーブを点在させることで、包まれるような居場所をつくっています。
それぞれの場所は仕上げの表情を変えることで、さりげなく性格の違いを持たせています。
畳の小間は、階段の一段目に合わせた高さに設け、リビングとは対比的な少し落ち着いた暗がりの場としました。
DIYによる塗り壁は、手びねりの器のようなやわらかなテクスチャーを持ち、光をやさしく受け止めます。
2階へ上がった先には小さなベンチを設え、ここにもひとつの居場所を用意しました。
そのまま子供室や書斎へとつながり、生活の中に自然と読書の時間が入り込む構成としています。
空間は大きく開くのではなく、視線が内側に受け止められることで、落ち着きのある広がりを感じられるようにしています。
- 規模・性能
- ◆敷地面積:181.83㎡(54.9坪)
◆延床面積:94.49㎡(28.5坪)
◆施工面積:105.26㎡(31.8坪)
◆耐震等級3
◆UA値 0.26 W/㎡K























































