ミルクペイントでエイジング塗装

相模 稔相模 稔

ミルクペイントでエイジング塗装 (実験編)

「巻の家」。 オガスタのオーナー様たちは個性派のご主人様が多いのですが、希望するテイストを実現しようにも史上最強クラスに手間がかかる仕上げを希望されました。

欲しい仕上がりのイメージは、ご主人様がハワイで見てきたフラット(平屋の住宅)
数枚の写真を見せていただいてイメージを共有する。(いわゆる、後ほどブームになるサーファー系カリフォルニアスタイルですね)

「きったねぐれんのがいいんだてぇ」ということになり、
DIYでペイントを塗り重ねていったような 大雑把でいて、
洗いざらしのジーンズのような古びた感じ。
アメリカンテイストを目指す方向性で進めることとなりました。

玄関ドアはスェーデン製の木製断熱ドア。
顔となるそのドアをシャビーにエイジングすることになった。

シャビーな家といえば、栃木のオーガニックスタジオ。田中武さん。
エイジング加工のノウハウもかなりお持ちです。
田中さんからいろいろアドバイスを頂いて、ひとまずはサンプルで試してみる。

オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 「自然素材の家」│ おーがにっくな家ブログ

塗装にはオイル系でやるパターンがやや容易であるが、エマルジョン系(水溶性塗料)でするパターンもある。
使い分けとしては木肌を浮かせたい場合はオイル系で、塗りつぶしでいきたい場合はエマルジョン系となる。

お客様の好みとしては住んでからも汚れてくれるほうがいい。
それに加えて、アメリカの伝統的な塗料という意味でも、ミルクペイントがよかろう。

塗装を終えてから、トップコートとして塗膜の防護とペイント感をだすために蜜蝋ワックスを塗る。ミルクペイントのままだとは完全にマットな表情が特徴で、ワックスを塗るとこれはこれでまたいい感じです。外部での利用であるから正解だろう。


製作工程:


①  紙やすり・コンクリート片でこすって表面を荒らす。 特に傷がつきそうな角を強くダメージを与えるのがコツ。
とはいえ本件はスェーデン製の断熱ドアなので、突板(薄い板)仕上。
ダメージはサンプルほどにはできないですけどね。

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② 1層目の着色を墨汁で塗ってみた。手が触れる部分の汚れとして削り出すと浮き出てくることを狙っている。

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③ 2層目の着色はベージュをミルクペイントで塗る。セルロース糊で汚れてぶつぶつになった表情を加えてみる。でんぷんのりで薄めてみるとひび割れも出せるので併用してみたいが本番ではやり過ぎに注意でしょうね。

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④ 3層目に青色のミルクペイント塗装をする。十分に乾いてから紙やすりで下地の塗装をこすりだしていく。長年の使い込みで手が触れて塗装がはがれていくことを想像しながら・・・。このへんがセンスが問われる部分ですね。

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⑤ 薄い墨で汚れをつける。普通の墨汁ではなく、高価ではあるが茶墨を用いた。微妙な茶色が古びた感じです。
この工程を木の灰やコーヒーでエイジングする人もいらっしゃいます。
⑥ 最後に蜜蝋ワックスを塗って、ペンキ感と防水性を加えて完成。

乾いては塗り、乾いては塗りだから、最低でも3日は現場に通わなくてはならない。
言いだしっぺが私なので、やらんばになった。

2工程目のクリーム色の下塗りで、監督の波潟からストップがかかる。
「ここからはお遊び禁止です!」

最後のステージはエイジング塗装では新潟一番のセンスがあろう
愛着工房いしかわさんにバトンタッチ。
作業場に持ち込んでゆっくり仕上げてもらうことになりました。

ミルクペイントでエイジング(完成編)

じゃーん!

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2度の下地塗まで私が吹雪交じりの天候化で現場で塗りましたが、最後の仕上げは愛着工房石川さんの工房まで持ち込んで仕上げました。 その判断は正しかったと思います。

白く塗られた下見板とも相まって、めちゃくちゃ アメリカンな雰囲気が出ております。
今後、こんな感じでという対応はできますが、それなりの手間を頂く覚悟でご用命ください。見た目以上にたいへんなんだから!(笑)

青いポストとポーチ灯も、お客様がどこかから見つけてきたもの。
ポップでキッチュな雰囲気が似合ってますね。

惜しむらくは、木製玄関ドアは北欧の断熱ドアの既製品を仕上げなおしたわけなので、ドアノブがデフォルトでステンレス。ここが古びた感じにはかなりならない。
アイアンか真鍮、もしくは木製であったら完璧だっただろう。ドンマイです。

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相模 稔
代表取締役

相模 稔

オガスタの社長。 工務店経営のほか講演活動なども行う。 アメブロ「おーがにっくな家ブログ」もよろしく。

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