「ぜんぶ絵でわかる 木造住宅」ブックレビュー

住宅設計
admin

飯塚豊さんの3冊目の本が発売に

8万部の大ベストセラー「間取りの方程式」の発売から8年が経ち、
最近、飯塚豊さんの3冊目の本が出版されました。

飯塚豊さんの3冊目の本の表紙がかわいい

タイトルは、「ぜんぶ絵でわかる1 木造住宅」です。
黄色い可愛い表紙の本が目を引きます。

背表紙を見ると、「ぜんぶ絵でわかる」はシリーズになって、続々と他にも出てくるようで、2番目のテーマの「設備計画」もすでに発売中です。

木造住宅の教科書としてロングセラー必至

飯塚さんはこの本の最後でおっしゃってますが、
世の中には、木造住宅の教科書ともいえる本がなかったと言う。
あったとしても昭和の時代の作り方を引きずっていて、現代の家づくりとしてみたら時代遅れな情報で書かれている。

現代の住宅に求められる、耐震と断熱という基本性能を満たすための洗練された「スタンダードの作り方」がアップデートされている。
設計、施工手順が、コストも含め全てバランスよく考えられた、木造住宅の新常識として、評価が固まっているものを、整理した本が必要だ、と飯塚さんは考えた。

最新の木造住宅の作り方

それを全て図解を中心に構成することで、見てすぐわかるようにする。
入門書であり「教科書」ともいえるもの。
10年スパンで長く読まれる本を目指しているようだ。

建築を志している大学や専門学校の学生さんが、メインのターゲットになりそうだし、
木造住宅に携わっている工務店や地域ビルダーの、新入社員教育に買って「まずはこれを読んでおけ!」という定番の本になることでしょう。

実際に読んでみましたが、3時間で読みきることができました。
全て一応は知っていることなので、3時間で完読ですが、完全素人でも6時間くらい読み込めば終了するのではないか?

住宅は屋根から考える

各テーマに分かれているが、間取りの方程式の、屋根を最初に考えて、住宅の断面計画を行い、プランニングは最後に行うといった「飯塚メソッドの要約版」も書かれている。

仕様選定や構造選択など、あらゆる内容が、洗練されたスタンダードの方法で、私たちもほぼこの内容に則った作り方で家が建てられています。

最新の正しい定番手法が整理されている

建築的には、このようにしたほうがいいと、もうすでに答えが出ていることであるが、世の中ではそれがされてないことも、ちらほら本には掲載されている。

例えば、バルコニー周りの処理に関して。
世間一般ではFRPー防水をしているところが多いけれど、この本では問題が多すぎるのでやめておいたほうがよいとしていて、板金処理した屋根の上に木製バルコニーを載せ、フラットバーなどで手すりにする方法が書かれている。

つまりは、建築的なのちのちの問題が潜んでいたとしても、「住宅産業」としたら作りやすい方法で家づくりが広く行われているものが、読むと分かってきたりもする。
「住宅建築」と「住宅産業」は、実は完全に一致しているわけでないのです。

個人的には、後半で「絶対やらない間取り」が3パターン紹介されていて思わず笑ってしまった。
間取りには流行廃りがありまして、現在ではやたらと「シュークローク(玄関のウォークスルー納戸)や、パントリー(食品庫)、ユーティリティ(水回りの拡張スペース・家事室)が最大化される傾向がある。
こういったサーヴァントプレイス(従属的な機能空間)が膨張して、サーブドプレイス(主たる居室)が窮屈になっていることの問題を指摘している。
主人が窮屈にしている脇で、召使いが威張っているような家はバランスが悪い。
家づくりにおいて、結構、笑えない人がいるのではないか?

雨漏り多発の軒ゼロ住宅から雨漏りさせない方法

近ごろの欠陥住宅の9割は雨漏りが原因で、近頃流行りの「軒ゼロ住宅」で、正しい施工納まりがされていないのが大きな原因となっている。この本では正しい部材の使い方が解説されている。

 

失敗したくないユーザーは買ってもいい本

あくまで建築を知る上での入門書であるが、建築学生だけでなく、木造住宅で家を建てたいユーザーの方も買ってもいいと思う。
ここで知りえた情報と、建てようとしている住宅会社の設計内容とを比べて、異なるやり方をしているのであれば、「なぜ教科書と違うのか?」理由を聞くことで、作り手と住まい手の摺合せをしてもよいだろう。 気になるところに付箋を梁ながら読むことをお勧めします。

気密断熱の施工のポイントももちろん網羅。

それくらいに、「性能と空間とコスト」の建築的な最新の基本がまとまった本です。
この本に頼らず、同様の知識を得るためには、エクスナレッジの「建築知識」を10冊買う必要があるので、安いものだと思いました。

しかし、飯塚さんはやっぱりすごい。
建築家なので、設計するのが本職ですが、仕事の合間にコツコツ3年かけて、これだけの資料と文章をまとめて本にできるんだから脱帽です。

追伸:2冊目の本「新米建築士の教科書」は、設計実務者の教科書としてバイブルになってまして、実務者で手元にない人は必携です。

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