家づくりを行う工務店のなかには、代表者自身が設計や現場管理の最前線にいるところと、
現場をスタッフに任せて、経営や会社づくりに専念しているところに別れます。
■ 代表者が設計・現場を兼務している会社
設計者であり、監督であり、場合によっては自ら大工として現場に代表がでて、
さらには実際に、施主と直接打ち合わせを重ね、じっくり工事を進めていく。
このスタイルの最大の強みは、**「想いがズレにくい」** という点にあります。
施主の言葉、家族の暮らし方、理想の空間―― それらを誰かに引き継ぐのではなく、
**自分の頭と手で形にするため、ブレない。
例えるならば、「手紙で文通するような家づくり」。
大量生産品にはない「体温」があり、住む人の背景や価値観を感じられる住まいになる傾向があります。
ただしその分、代表者のキャパシティに大きく依存することあり、繁忙なることある。
そのため、年間の棟数には限りがありますし、繁忙期には対応が遅いことも。
情報発信や保証体制「会社としての仕組み」などはやや後回しになる場合もあります。
■ 経営に専念している代表者の会社
経営に専念している代表の下で、設計や現場監理を分業化・組織化している工務店は、より「仕組みとしての住宅会社」として成熟しています。
営業、設計、インテリア、工事監督、アフターサービスなどの専門スタッフがそれぞれの領域でスキルを磨き、一定の品質と対応力を提供できる体制が整っています。
一定以上のサービス品質を「組織力」で支えることが可能なこと。急な依頼にもアフターにも対応できるようになっているところも多いです。
代表者は経営や採用、ブランディングなどに注力できるため、中長期的な企業の成長や顧客の満足度向上につながる判断がしやすくなります。
その結果、このタイプの会社が提供する住宅は、一定のバランス感と安定性を備えた住宅へと期待できますが、肝心なのはスタッフの実力がどうであるか？そこが判断材料になることでしょう。
「誰が担当でも一定の品質」が確保されやすい点は、大きな安心材料になります。
とはいえ、施主からすると「社長の顔が見えない」「熱量が伝わりにくい」と感じることもあるかもしれません。
■どちらが良い、ではなく「誰と、どんな家を作りたいか」
家づくりは、お金も時間もかかる大きなプロジェクトです。
大切なのは、「自分たちが何に価値を置くのか」です。
「熱意か、仕組みか」「個性か、安定か」その軸がはっきりしていれば、どういった会社にオーダーをしたいのかの答えは自然と見えるはずです。
気になる会社の社長がどんな働き方をしているか、
ちょっと意識して聞いてみると、その会社の家づくりの本質が垣間見えるかもしれませんよ。
