私もなんだかんだ30年以上住宅業界で生きています。
1000人近いお客様の住宅相談に関わってきた中で思い起こすと、
家を作ろうとしているお客様の「行動と意識」が大きく、この30年間で変化したことに気づきます。
今回のメルマガは、30年前から現在までで、家づくりがどのように変化したのか記事してみました。
30年前の家づくり:「営業マン頼みの安心感」
1990年代初頭は、消費者が住宅展示場や新聞折込広告、口コミなど限られた情報源から住宅会社を選ぶ時代でした。読まれていた雑誌は「月刊ハウジング・ハウジング新潟」など。
新聞を購読する人も今よりはるかに多く、週末にはチラシも大量に織り込まれ分厚かった。
総合住宅展示場も元気で集客力があり、催事の際にはごった返すし、無邪気に気軽に子供を連れて行く場所でした。
「いい家がほしい」に代表されるように、情報は業者主導で提供され、消費者からの情報は目にする媒体はなかったので、住宅会社の信頼性や安心感、人間関係が購入の決め手となるケースが多かったのです。
自分で細かな仕様や価格の妥当性を判断するよりも、「信頼できそうな営業マン」や「名の通った会社」に任せることが主流でした。
20年前:掲示板から生まれた匿名文化
2000年代後半になると、インターネットが普及し、消費者は自ら情報を収集し始めました。業者に会う前にウェブで比較検討を行い、自分で調べる傾向が生まれました。
この頃は巨大掲示板の登場で、企業からの情報発信でなく、消費者が直接、意見や情報を書き込めるようになりました。「電車男」がドラマ化されたのが2005年。この頃がピークです。
しかし、情報が増えることで消費者が本当に「賢く」なったかと言うと、必ずしもそうではありません。掲示板の流行は、日本人に匿名文化を広めました。
有益な情報もありましたが、真偽や根拠が不十分な情報も溢れる世界の登場です。
2011年あたりからSNSの普及へ
ツィッターとフェイスブックが日本でサービスを提供したのが2008年。
でもこのころはSNSはさほど勢いはなく、ブログが人気でした。
「アメブロ」「MiXi」が、先導的にネット文化を育てていたが、一部のユーザーに限られていた。
(*2008年9月の私のアメブロ、記念すべき初号 ↑↑↑)
2011年の東日本大震災を契機に、「つながる」ことの価値を多くに日本人は気付いた。
ここいらかあらSNSでの情報収集は、当たり前になり、家づくりでも活用されることになった。
しかし、情報量の多さが混乱を招き、「何が正しい情報か」を見抜く力が伴わないまま、表面的な情報比較にとどまるケースも増えました。
現在:情報過多のカオスの海を泳げ
2020年代に入り、消費者はYouTubeやInstagramなどのSNSで、リアルタイムかつ膨大な情報にアクセスしています。ここに新たな問題が生じています。
消費者自身が主体的に情報を収集し判断しているように見えても、実際には情報の海に溺れ、何を基準に判断すべきかが分からなくなっている現実があります。その結果、「相談窓口」であるSUUMOカウンターのような第三者に、背中を押してもらいたい人も一定数いるので、存在感を保っています。
結論:情報過多時代の課題
過去30年で、消費者が住宅購入に至る行動プロセスは劇的に変化しましたが、情報が多くなればなるほど判断基準が曖昧になり、「認知度=ブランド力」という安易な判断も増えています。
消費者が自分のライフスタイルに合った住宅を手に入れるためには、本当に高品質で、より本質的なものは何かを見分ける判断力を養い、情報の質を見抜く力を身につける必要があります。そのためには以下のような具体的な行動が求められます。
① 複数の情報源を活用し、一つの情報だけに依存しない。
② 情報提供者の背景や利害関係を把握する。
③ モデルハウスや現場見学会などで実際に建物を体感し、実物の品質を自分の目で確認する。
ここで私の推奨事項ですが、毎度そのように言っておりますが、
家づくりについて参考になる良書を読むことをおすすめします。
定番本としては、
「エコハウスのウソ」
「あたらしい 家づくりの教科書」
「間取りの方程式」の図鑑シリーズ
さらに飽きたらない人は、
読むと住宅が好きになる本たちを
手に取るといいでしょう。