異次元の暑さで変わる。夏の暮らしの新常識

admin

かつての夏の過ごし方

約15年前までは、夏の冷房の常識といえば、
「夜になれば気温が下がるので窓を開けて風を通す」ことでした。
朝になって外気温が上がる前に窓を閉め、昼間はエアコンを間欠運転する。
これが当たり前の使い方だったのです。

夜間に通風をとって建物を冷やすことを「ナイトパージ」と呼び、
当時の自然派住宅では、庭に緑を植え、打ち水をし、夜は風を通して
「なるべくエアコンに頼らない暮らし」を推奨していました。
しかし現在、この発想はすでにポエムに近いものです。
私の事務所でも建物の外周に多くの樹木を植え、南側にはビオトープまで設けましたが、
それでも通風だけでは到底しのげず、エアコンを止めることはできません。

あたらしい暮らしは、夏に涼しい家で

QPEXシミュレーションでは「夜間通気あり・なし」を選べますが、
従来はナイトパージを前提にした計算で、冷房負荷は半減する扱いになっていました。
冬は20℃で連続暖房、夏は28℃を超える時だけ冷房を稼働させる――
そんな理想的な条件設定で、「冷暖房エネルギーは冬が夏の2~3倍」というのが一般的でした。
ところがここ数年、状況は大きく変わりました。

* ウェザーニュースHPより転載

地球温暖化の影響で夏の猛暑が常態化し、夜間も25℃を下回らない熱帯夜が続きます。
今や「夏は窓を閉め切り、エアコンを24時間連続運転する」ことが標準となりつつあるのです。

そのため、シミュレーション条件も見直しました。
冬は20℃から22℃の全館暖房へ、夏は28℃から27℃の全館冷房へ。
この新しい条件で計算すると、5地域新潟市ですら、冷暖房エネルギーは逆転し、
むしろ冷房の消費エネルギーの方が多くなるのです。
従来は「冬に暖かい家」が最重要視されてきましたが、
これからは「夏に涼しい家」の工夫が一層求められます。

異次元の暑さで株を上げたアイテム

例えば、軒のないBOX型の住宅で窓に直射日光が当たれば、
エアコンを止めた途端に温室のように暑くなるのは明らかです。
直射光を遮る軒だけでなく、天空光を防ぐアウターシェードや外付けブラインドなど、
窓まわりの遮蔽アイテムの価値は格段に高まっています。

さらに、屋根に厚い断熱材を備えた住宅は、同じ室温27℃でも表面温度が低いため、
体感は大きく異なります。

加えて、屋根にソーラーパネルを設置すれば、
昼間の冷房エネルギーを自家発電でまかない、環境負荷も抑えられます。
しかもパネル自体が二重通気屋根のように働き、天井の温度上昇を和らげる効果まであるのです。
つまり、異次元に暑くなった現代の夏において評価が高まったのは、
「窓の遮蔽アイテム」「ソーラーパネル」「そしてエアコン」でしょう。
もはや「エアコンに頼らない情緒的な暮らし」という声は力を失い、
エアコンは今や生命維持装置として欠かせない存在になっています。

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