空港基地周辺の防音対策は? 実は窓改修
以前、北海道の千歳空港近くにある工務店さんと、周辺エリアを車で移動したことがあります。
千歳空港は自衛隊の航空基地に隣接していて、北方防空の要でもあります。戦闘機(たとえばF-35など)が離着陸するタイミングでは、旅客機とは別次元の騒音が出る。
現地に行くと、その“音圧”がよく分かります。

(写真:防衛省のHPより転載)
この周辺では、対象エリアの住宅に対して防音工事が公費で行われるケースがあるそうです。
そして、その防音工事の代表例が「窓の高性能化」。具体的には、トリプルガラスの窓へ入れ替える、という話を聞きました。
北海道は寒冷地ですから、窓がトリプルになると断熱性能も上がります。
外からの騒音対策としても、冬の快適性としても、まさに一石二鳥です。
外からの騒音は「断熱・気密」を上げるのが王道
基本的に、外からの音を防ぐには、断熱・気密を高めるのが王道です。
隙間がある家は、音も入ります。空気が通る場所は、音も通る。これはかなり正直です。
いまの住宅は、昔に比べると一定以上の性能が担保されるようになりました。
完成見学会などで窓の開け閉めをしてもらうと、「え、こんなに違うんですか」と驚かれることもあります。

外が急に強い雨になったのに、室内にいると気づかない。
そんなことも、実は珍しくありません。
交通量の多い道路沿いでも、昔の家ほど騒音で暮らしが妨げられるケースは減っています。
つまり現代の家においては、外からの防音は、窓も含めて高性能化しておけば過度に心配しなくていい。ここははっきり言っていいと思います。
いまの主役は「室内の音環境」
むしろ今、テーマになりやすいのは室内側の音です。
よくある話として、吹き抜けをつくると
「1階の音が2階に筒抜けになってプライバシーが保てない」
という心配を聞きます。
ただ、ここで現実的な話をすると、現代の家は計画換気を前提にしています。
各個室にも空気の通り道が必要なので、ドアの下に数センチの隙間(アンダーカット)を設けることが多い。つまり、構造的に「完全密閉の個室」にはなりません。
そのため、部屋からの音漏れや、上下階の音の抜けは、ある程度は起こります。
ここは「ゼロにできる」と期待すると、後でがっかりします。
“そういうもの”として受け止めた上で、暮らし方で調整するのが現実的です。
そもそも家族のプライバシーって、何だろう?
ここで一度立ち止まって考えたいのが、
「家族におけるプライバシーとは何か?」という問いです。
住宅は、ビジネスホテルのように部屋が完全に独立しているべきなのか。
1階のリビングで映画を観ているとして、2階にいる家族にどんな迷惑が起きるのか。
多くの場合、これは建築というより家族内のマナーやルールで解決できる範囲です。
「夜◯時以降は音量を下げる」
「通話は寝室ではなくリビングで」
こういう共通ルールを決めるだけで、案外すんなり収まります。

“本気の防音”が必要なケースもある
もちろん、例外はあります。
たとえば音楽演奏・音楽鑑賞など、
「大きな音が出る」だけでなく「音質にもこだわりたい」という場合。
この場合は、吸音・遮音・防振など、建築側の対策が必要になります。
(部屋の作り方がまったく別物になります)
ただ、一般的な暮らしの範囲であれば、過剰に神経質になるより、暮らし方とマナーで整える方が合理的です。
二世帯住宅だけは、話が別
一方で、二世帯住宅になると話は変わります。
ここは「なんとかなるでしょ」では済みません。

親世帯と子世帯の音の問題は、積み重なると関係性がこじれやすい。
だからこそ、できるだけ徹底して遮音するくらいの前提で計画した方が安全です。
上下階で世帯を分ける場合は特に、
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床の遮音(構造・下地・仕上げの工夫)
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配管音・給排水音の対策
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水回りの配置計画(寝室の上にトイレを乗せない等)
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ドアや開口部の仕様
こういった「音に配慮した設計」が効いてきます。
まとめ:音は大事。
でも“普通の暮らし”なら、心配しすぎなくていい
暮らしと音について大まかに言うなら、結論はこうです。
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外からの騒音:いまの高性能住宅なら、窓を含めて性能を確保すれば過度に心配しなくていい
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室内の音:ゼロにはできない。暮らし方・ルールで整えるのが現実的
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二世帯住宅:ここだけは別格。設計段階で徹底して備えるべき
家庭によって「音」の優先順位は違います。
ただ、多くのご家庭にとっては、必要以上に神経質になるテーマではない。
今日はそうまとめさせていただきます。
