懸垂バーを暮らしに取り入れるという選択
こんにちは、工事担当の刈谷です。
「家の中に懸垂バー?」と聞くと、ちょっと意外かもしれませんが、最近はさまざまな理由から設置を希望されるお客様が増えてきました。運動不足の解消だけでなく、お子さまの遊具として使いたい方、洗濯やインテリアの機能として活用したい方など、用途は多岐にわたります。
無垢材の床や木の香りに包まれた空間で身体を動かすと、運動そのものが心地よく感じられます。自然素材に囲まれた住まいでの健康習慣は、身体にも心にもやさしい効果をもたらします。
木造住宅における設置のポイント
懸垂バーは人の体重を支える道具ですから、取り付けには慎重な判断が必要です。木造住宅で安全に設置するためには、梁や柱など構造体にしっかりと固定することが不可欠です。
特にオガスタの住まいは構造材を見せるデザインが多く、設計段階で位置を決めておけば、下地の補強を加えることもできます。自然素材の仕上げ材(塗り壁や板張り)を多用している場合、後付けでの施工が難しいケースもあるため、早めのご相談がおすすめです。
また、設置する高さも重要なポイントです。「ぶら下がった際に足が床につかない程度の高さ」が理想ですが、その条件は使用者の身長や目的によって異なります。そのため、誰が主に使うのかを明確にし、打ち合わせの中で最適な高さを検討することが大切です。
設置方法と仕上げに関する注意点
懸垂バーの設置方法は主に以下のように分類されます。
・天井付けタイプ
天井裏の構造材や下地材に固定する方法です。ただし、ぶら下がった際の荷重は上から下にかかるのに対して、天井面からの固定はその荷重を下から上に支える構造になります。このため、接合部に過度な負荷がかかり、構造的に不利となるため、弊社では基本的には推奨しません。
・表し梁固定タイプ
梁の側面に取り付ける方法を推奨しています。表し梁を活かしつつ、構造体にしっかりと固定できるため、安全性・意匠性ともに優れています。オガスタ事務所でもこの方法で後付け施工を行いました。
・壁付けタイプ
あらかじめ構造体に下地補強を施しておく必要があります。空間のアクセントにもなり、使い勝手も良好ですが、設計段階からの計画が重要です。
バーの素材は鋼製で、オガスタではスチール専門業者による特注製作を行っています。塗装には耐久性の高い粉体塗装(パウダーコート)やクリア仕上げを推奨しています。白などの塗装は経年で剥がれやすく、手汗や摩擦の影響も受けやすいため避けるのが無難です。
太さは直径28〜32mm程度が握りやすく、長く快適に使用するための大事なポイントです。
暮らしに寄り添う多用途性
懸垂バーは懸垂だけでなく、生活の中で多目的に活用できます。S字フックで植物を吊るしたり、室内干し用の物干しバーにしたり、ストレッチや子どもの遊び道具としても活躍します。
社員の健康維持を目的に、先日はオガスタ事務所にも表し梁に固定する方法で後付け施工しました。竣工後でも、構造を活かした設置が可能ですので、お引き渡し後に追加で検討される方もご相談いただけます。
自然素材の家にこそ似合う、身体を動かす仕掛け
懸垂バーは、決して特別な設備ではありませんが、「暮らしの中に動きをつくる」ことができる、さりげなくも効果的な存在です。
健康的で気持ちのよい住まいづくりを目指すオガスタの家において、懸垂バーのような遊び心ある提案が、暮らしの質をより豊かにしてくれるのではないかと思います。
設計段階でのご相談はもちろん、竣工後の設置にも柔軟に対応いたしますので、気になる方はお気軽にお声がけください。