ぶどう畑のタイニーハウス「松野尾の家」
ぶどう畑のタイニーハウス
設計:阿部 誠治
監督:小林 秀昭
- 設計コンセプト
- 平屋の性能向上リノベーション
コンパクトな平屋を生かしつつ構造補強、断熱性能を向上させるためのリノベーションを行った。各所に屋外との繋がりを設けることで角田山と越前浜、四季折々の自然を感じながら感性を育む暮らしができるように計画した。
プランニングのポイントは、暗い中廊下を魅力的な場として転換したこと。さらに空調室、ライトウェル、風の通り道となる多機能ロフトを設けることで一台のエアコンで全館冷暖房できるようにした。
杉板外壁や内部の漆喰仕上げは施主がDIYし、たくさんの愛情が詰まった素晴らしい家となった。
- 外観
- 既存の寄棟の瓦屋根に大きな半外を附属させた。築25年の瓦屋根はそのまま活用している。杉板外壁は施主DIY施工によるもの。併設するハウスには甲州、巨峰、スチューベンなどのぶどうが栽培されている。さらにDIYで屋外の物置を追加する予定となっている。
- 内部空間
- 既存躯体の構造的不整合を修正しながら間取りを最適化した。南側の大開口部は簀戸と障子が供えられている。既存躯体の高い階高を活用して部分的に折り上げ天井としている。折り上げた曲面は小幅の杉材で仕上げ優しい風合いとした。天井壁を漆喰で塗りこめているため床材はあえてチークとして足元が引き締まるように工夫している。キッチンの格子戸は杉を柿渋で仕上げたもの。玄関側の雰囲気がおぼろげに感じられとてもよい。玄関の手摺はチークを用い原寸で試作品を作りながら手触りがよく堅牢なものになるようデザインした。トイレの群青の手洗い鉢は新潟の陶芸家である後藤奈々さんによるもの。
- 規模・構造
- 敷地面積:141.82坪
延床面積:26.25坪
木造在来工法 平屋
- 性能
- 長期優良住宅
Q値 1.03
UA値 0.27
暖房負荷 33.1
冷房負荷 10.8
空調方式 小屋裏エアコン