稜線を望み、四季の田園を楽しむ家「和納の家」
稜線を望み、四季の田園を楽しむ家「和納の家」
設計:阿部 誠治 監督:野口 一弥
- コンセプト
- 西蒲の大きな空の下、角田から弥彦へと続く稜線と、季節ごとに表情を変える田園。
そのふたつの風景を、暮らしの背景としてまっすぐに受け止める家です。
建物を敷地中央から東側へ寄せ、わずかに角度を振る配置によって、
室内の視線は自然と西の稜線へ向かいます。
春は柔らかい霞の山並み、夏は濃く重なり合う緑、秋は田が黄金に波打ち、冬は澄んだ空に稜線がくっきりと浮かぶ。
この家は、それらの姿を毎日の暮らしの中で静かに味わうための器です。
- 外観|杉板に包まれた、穏やかで大きな佇まい
- 北側からのシンメトリーの家型に、低い下屋が寄り添う外観。
素朴で真っ直ぐでありながら、どこかやさしさのある姿です。
外壁は杉板とし、時間とともに落ち着いた色へと育っていきます。
西側のデッキテラスは両袖壁で緩やかに囲われ、
田園と山並みだけに意識が向かう、静かな外の居場所となります。
どこから見ても破綻のない形は、外観・構造・間取りが一体で考えられているからこそです。
- 内観|視線と余白が空間を豊かにする
- 玄関土間は4.3畳。
建具操作により住居エリアと飲食スペースを柔軟に分けられる計画です。
リビングは12畳と控えめですが、小下がりのキッズスペースとデッキテラスの奥行きが加わることで、数値以上の広がりを感じられます。
室内の居場所が外へと続き、家のスケールを軽やかに越えていく感覚が生まれます。
キッチンは6畳。
パントリーや家電収納が動線と一体に整理され、住まい手の作業スタイルをのびやかに受け止めます。
2階の浴室はハーフユニット。
ここから臨む稜線は、この家にしかない眺めです。
湯気の向こうに広がる山並み、季節ごとに香りを変える田の気配。
“景色とともに入る湯”という、静かな贅沢がここにあります。
ユーティリティーは天井高を確保し、衣類や家事が軽やかに整う気持ちよい空間に。
動線と風通しが素直な設計です。










































