母を囲む家「向陽の家B」
母を囲む家「向陽の家B」
設計:塩谷 英一 監督:阿部 傑
- コンセプト
- この家の中心には、「母のテーブル」があります。そこに母が座ることから、この家は構成されています。
この一枚板のテーブルを軸として高齢の母と娘が互いに寄り添い、日々を分かち合いながら無理なく暮らす、二世帯の終の住処です。1階は母のスペースとして広く伸びやかに(娘も介護しながら共有)、2階は娘のスペースとして最小限に。両階に浴室・キッチン・トイレを設け、将来的な家族構成の変化やシェアにも対応できる構成としています。
諸スペースは間仕切りなく、母が日々座るテーブルを円環するように配置し、母を囲む関係の中で諸々の場を組み立てました。「バリアフリー」、「二世帯」という制度的な枠組みを前面に出すのではなく、これらのほか設備、職人技術、素材、造作、庭、施主の飾り物までも一つ一つ等価な要素として扱い、それらが母を囲むことで、この家は成り立っています。
- 外観・庭
- 低く伸びやかな1階を半屋外の下屋空間が取り囲み、2階が小さく浮かぶように載る構成です。北側斜線の規制を活かし、裏となる北側境界との余白にカーポートを配置。南側には広い庭を確保し、正面からはカーポートを見せない構えとしています。前面道路から屋根付きのスロープを設け、雨や雪の日も段差なく安心安全に玄関へ。その屋根は帯状に連続して縁側にも延びて掛かり、室内のような庭のような、庭と室内とをつなぐ曖昧な場となります。母のテーブルから下屋空間、庭、そして街へと、空間は緩やかに開かれています。
- 内観
- スロープはそのまま玄関、室内へと段差なく続き、大開口を介して縁側と庭につながります。1階と階段室の壁・天井はDIYを取り入れた左官仕上げ。自然光と親和的な、やわらかな室内空間をつくっています。施主家族は多くの飾り物を持ち、「飾る」ことを大切にしています。機能や性能を越えた、人の営みとしての「飾る」スペースとして、左官仕上げの床の間を設けました。
- 素材・造作
- 家の中心となる「母のテーブル」は大工棟梁の制作。68mm厚の無垢杉板一枚を、両端の独立式・三つ脚に載せるだけの構成です。天板一枚だけで構造が成り立つため幕板を設けず、車椅子や肘掛け椅子が自然に納まります。簀戸、仏壇扉、縁側の格子戸は、金属や多種多様な樹種を使い分け用途ごとにデザインし、建具屋さんの職人技術を最大限に活かして制作してもらいました。床の間の左官仕上げは他と区別し、漆喰に淡いピンク色の骨材を混ぜた洗い出し仕上げとし、飾り物の背景としました。
- 規模・性能
- 敷地面積:59.86坪(198.28㎡)
延床面積:30.5坪(101.00㎡)
構造:木造在来工法 2階建て
Ua値:0.32 W/㎡K
Q値:0.98 W/㎡K
C値:0.3 ㎠/㎡
太陽光パネル搭載:5.72 kw
耐震等級3
長期優良住宅認定
床下エアコン暖房+壁掛けエアコン冷房




















































