格安分譲住宅がリノベーションを妨げる

社会
相模 稔相模 稔

格安分譲住宅がリノベーションを妨げる

 

先日、新潟市内の某有力不動産会社の役員をしているA氏と情報交換をした。

そこで建売住宅(分譲住宅)の事情についてのご教示いただき、

かなり勉強になったので情報を共有したいと思います。

 

新潟における分譲住宅は、かつてレック三和と後藤不動産という2つの大規模倒産が起こったことでマイナスイメージが強い。かつて建売分譲に流れていたクラスは、建売を購入するのをきらい、安い分譲地にローコスト住宅を建てる方(持ち家)を望む傾向が強い。

全国的には持ち家と分譲は半々であるが、新潟に関しては持ち家6000棟に対して、分譲が1000棟で、6:1である。 建売分譲の弱い地域である。

しばらくはそうした時代が続いたが、アイダ設計が新潟におけるビジネスに慣れて実績を上げるようになってきて、状況が変わってきているという。

 

(飯田産業GのHPより転載)

飯田産業Gの新潟本格進出のインパクト

首都圏では戸建て住宅というものは、買うものだと思われている。

飯田産業グループに至っては、「年間で東京ドーム120個分の土地に家を建てる」という。連結売上が億の単位ではなく、兆を超えている。

飯田産業は、一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームという分譲大手の6社が資本統合してできた一部上場企業である。

すでに そのうちの1社は年間80棟規模で分譲を行い、他の数社は新潟事業所を開設し、営業活動を行っているという。

仮に各社が100棟の分譲を行えば、年間で600棟分である。

繰り返すが、新潟県全体で、戸建て住宅は(賃貸を除いて)年間で6000棟くらいしか建たない。分譲は1000棟だ。その市場に巨大資本の飯田グループが割り込んでくる。

地元スーパーしかなかった市場に、イオングループが攻めてくるようなもので、資本力の桁が違う。 それが秒読み。 ではなく、静かに進行中だ。

 

新潟県における最大の住宅会社であるイシカワですら 売り上げは210億円でしかない。

桁違いな存在なのだ。

 

 

分譲住宅とは不動産で、買い物である

飯田産業グループは表立って自前の営業マンを使って売るわけでなく、

不動産会社に販売手数料を支払い、不動産屋に売らせるスタイルである。

だから、不動産情報の集合チラシに出る名前は、不動産屋の名前で、住宅会社の名前はわからない。 しかし、潜伏してかなりかなり活動を活発化しているのだ。

大工や足場などの職人も、ベトナムなどから研修生名目で連れてきて工事をする。

徹底したコスト削減でのローコストを武器に関東を制圧した。

 

彼らの活動により、低価格帯は建売を買うという流れになると、

既存のローコスト住宅がまずは食われる。

特に新規土地購入に合わせて規格住宅を量産していた会社が一番食われるだろう。

・・・・・というのはすぐわかることだ。

 

低価格帯の持ち家の形態には3つある。

① 更地購入+規格住宅の新設

② 建売住宅(分譲)

③ 中古住宅の購入

 

飯田グループに食われるのは①②の新築だけではない。

③の中古再販も同様にシェアを奪われるだろう。・・・・とA氏は言う。

 

 

 

③の中古住宅は、とけん情報やハウジング情報といった集合チラシに見ることができる。

キッチンなどの設備入れ替えし、外装を塗装しなおしただけの

お化粧リフォームが主流である。

築年数が古い中古住宅はほぼ土地代だけの安さだ。

 

①②にも手が出ない層は、③の中古へと動く。

(それでも引き合いの半分は 融資が降りなくて買えないという。切ない世の中だ)

この層は今までと変わらないだろう。

 

(知事免許(1)の新設法人なのに派手に分譲やっている会社があるなと思ったら、

飯田Gであると A氏から聞かされた。 なるほど・・・・。)

 

 

しかし、「新築と同様の良質な中古住宅」を手に入れたいと考えていた層は、

新築で価格勝負の分譲住宅に流れるだろう。とA氏は指摘する。

ただ単に金額が新築より安いから、中古でいいやと考えていた層は、

同じ値段で新築が買えるとなれば、建売を選ぶだろう。

 

行政や有識者(そして我々)は、空き家問題の対策に、リノベーションを考えるだろうが、不動産マーケット全体を考えるならば、それはきれいな夢であって、資本主義の腕力にあらがえないのではないか?

 

よほど魅力的な立地で、新耐震基準を満たす構造躯体でない限り、壊して更地というのが基本ラインであり続け、あんがい伸びないだろう。

 

・・・・以上が、業界を深く知るA氏の見解だ。

うぅ~~~ん  さすがな見立てだ。 なるほど。

リノベーションを本当に理解する層があるのか?

本当にリノベーションの意義を知り、質的な部分への理解のある層が存在するのか?

先般のリノベ内覧会を行った「女池の家D」のような住宅取得の手段を選ぶ層は、果たして それがどれほどいるのか?

先般の女池の家Dの内覧会は、そのテストマーケティングであったが

なんともいえないのが正直なところです。

 

たぶん、一からユーザーを啓蒙し、「顧客を創造」しないことには難しい。

それは、イオンモールに、商店街の個人商店が挑むことのようなものかもしれない。

 

① 自分で住んでいる家をリノベーション(自己所有)

このルートであれば、既存住宅への愛着もあるし、

リノベーションの主役になるのだなと 思った次第です。

相模 稔
代表取締役

相模 稔

オガスタの社長。 工務店経営のほか講演活動なども行う。 アメブロ「おーがにっくな家ブログ」もよろしく。

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