ちいさな家の大きなひろがり「坂井東の家A」
設計:阿部 誠治 監督:小林 秀昭
- コンセプト
- 東西の道路と南側の遊歩道に面した約39坪の敷地です。周囲への配慮と駐車スペースの確保を考えると、建物に使える場所は限られます。そこで、敷地の条件を丁寧に読み解き、建物の配置から間取り、屋根のかたちまでを一体的に計画しました。
目指したのは、必要以上に大きくつくるのではなく、限られた面積の中に、のびやかさと暮らしの余白を生み出すこと。
1階には、将来の家族構成や暮らし方の変化に応じて、個室へと分けられるオープンスペースを設けました。2階には、勾配天井のLDKと、食事や遊びを楽しめるプライベートなバルコニーを配置。空間のつながりや天井の高さ、内と外の関係を工夫することで、実際の面積以上の広がりを感じられる住まいを目指しています。
小さな家だからこそ、空間の使い方に工夫を凝らす。家族の今にも、これからにも応える住まいです。
- 外観
- 南北に流れる切妻屋根が、街並みに親しみやすい表情をつくります。道路側は建物のボリュームを抑え、圧迫感を軽減しました。三角屋根が峰の様に重なり合うかたちが、さりげない愛嬌を添えています。
敷地の東西それぞれに駐車スペースを設け、その中間に玄関を配置することで、どちらからも自然にアプローチできる計画としています。玄関前には屋根のかかったゆとりあるスペースを確保し、駐輪場や外物置など、日々の暮らしを支える場所としても活用できます。
一方、南側には大きな開口部を設け、冬の日射を室内に取り込みやすい構成に。北側の隣家への日影にも配慮しながら、敷地全体の使い方を整えています。
建物のかたち、周囲との距離、光の取り込み方。それぞれを別々に考えるのではなく、ひとつの計画としてまとめることで、小さくても窮屈さを感じさせない佇まいをつくりました。
- 内観
- 1階は、平天井による落ち着いた空間を中心に構成しました。玄関土間には、階段の一段目を広げた腰掛けを設け、靴の脱ぎ履きを自然に支えます。玄関ホールの脇には、庭との距離が近いオープンスペースを配置。当面はセカンドリビングとして使い、将来は2つの個室へと分けることができます。
階段下やホール脇の収納など、限られた面積を無駄なく使いながらも、空間を細かく区切りすぎないことを大切にしました。家族の成長や暮らし方の変化を受け止める、余白のある1階です。
2階のLDKは、勾配天井によって視線が上へと抜ける、開放的な空間。リビングの開口部には腰壁を巡らせ、外への視線を確保しながら、ほどよい囲まれ感をつくりました。窓辺には小物を置いたり、日々使うものをまとめたりと、暮らしの道具が自然に収まる場所も生まれます。
ダイニングは一段上がった先でバルコニーにつながります。食事を楽しんだり、子どもたちが水遊びをしたり。室内の延長でありながら、外の空気を身近に感じられる、もうひとつの居場所です。
空間をただ広く見せるのではなく、天井の高さや視線の抜け、居場所ごとの落ち着きを丁寧に整えること。限られた面積の中に、家族それぞれの過ごし方と、暮らしの楽しみが広がる住まいです。
- 規模・性能
- ■ 敷地面積 41.09坪(136.09㎡)
■ 延床面積 28.25坪(93.58㎡)
■ Ua値:0.32W/㎡K
■ Q値 :1.13 W/㎡K
■ 太陽光パネル 4.08kw
■ 木造在来工法 二階建て

































