「大窓の平屋」 白山浦のリノベーション
設計:塩谷 英一 監督:刈谷 裕樹
- コンセプト
- 64坪の空き家だった実家を、減築しながら28坪の平屋へ再生しました。
建物は、当初からの二階建て部分(築41年)と、後年に増改築された平屋部分(築24年)から成っていました。今回、その平屋部分を二階建て部分から切り離し、減築したうえで、新たな住まいとして整えました。敷地は新潟市中央区、白山公園周辺の大通りに面しています。建主は、空き家となっていた母の実家を譲り受け、夫婦と子ども一人の住まいとして引き継ぎました。
敷地は南北に長く、通りに面してリノベーション棟(平屋)があり、その奥には坪庭を挟んで、既存のまま残した別棟(二階建て)が建っています。別棟の一階では建主の母が歌の教室を営み、二階は叔父が写真アトリエとして使っています。一つの敷地の中に、住まい、教室、アトリエが共存する。そこには、建物が積み重ねてきた時間と、世代を超えて受け継がれてきた家族の営みがあります。この敷地と建物が持つ「奥行き」と「時間の積み重なり」、そして家族それぞれがゆるやかに関わり合う暮らし方を手がかりに、設計しました。
既存の瓦屋根、柱や梁の架構、土台、基礎を活かしながら、スケルトンにして再構成。耐震性能、断熱・気密性能、省エネ性能を高めるとともに、素材や仕上げ、設備、外構、間取りに至るまで、これからの暮らしに合わせて更新しています。
- 外観と庭
- リノベーション棟は、シンプルな切妻屋根の平屋です。にぎわいのある通りに向かって、大きな窓をひとつ造りました。窓というより、建物に開けられた「孔(あな)」とも呼べるかもしれません。
屋根は既存の安田瓦をそのまま利用し、外壁は杉板とそとん壁で仕上げました。通りに面した駐車スペースとしての南庭には石を敷き詰め、基礎際のわずかな隙間やアプローチの限られたスペースにも緑を添えています。大窓の室内側にはカウンター収納と玄関土間を設けました。玄関もひとつの居場所として、南庭から続く半屋外の庭のような土間空間としました。正面にぽっかりと開いた大窓の向こう側には坪庭があります。
- 内観
- 家の中にも、建物の中心を南北に貫く大通りをつくりました。この家の中の大通りは、建物を端から端まで貫く長さ約11mの吹抜け空間となっています。生活者の主要な動線となっており、南庭と坪庭を一直線につなぎながら、玄関ホール、リビング、ダイニングなど、家族がそれぞれの時間を過ごす居場所にもなっています。
吹抜けの両側にはロフトを設け、構造的な水平構面として機能させながら、その下に個室や水廻りを配置しました。
この吹抜けは、単なる上下の空間ではなく、建物全体をつなぎ、光や空気の変化を家の奥まで連続させる余白です。新しくつくり直した部分と、残された既存の架構。その新旧が重なり合うことで、この家が積み重ねてきた時間が感じられ、空間全体にさらなる奥行きを与えることを期待しています。
- 規模・性能
- 敷地面積:90.28坪(299.06㎡)
延床面積:27.67坪(91.71㎡)
構造:木造在来工法 平屋建て
Ua値:0.28 W/㎡K
C値:0.5 ㎠/㎡
太陽光パネル:6.55 kw搭載
空調:壁掛けエアコン(x1台)


































