今回、オガスタ事務所のキッチンで私が犯した失態を共有し、予防とその後の対応についてお伝えしたいと思います。
■ キッチンの天板について
オガスタの事例におけるキッチン天板は、ステンレス製が最も多く採用されています。
我が家もこの天板を使っていますが、扱いも楽で掃除もしやすく、使い勝手が良いので多く採用されるのも納得です。

スコーンを捏ねるのにステンレス天板をのし板として使い、さっと拭いて掃除されている住まい手さんもいて、こんな使い方もできるのかと驚きました。
一方で木製天板を選ばれる方も少しずつ増えていると感じています。
木製天板の良さはキッチンやダイニングに素敵な雰囲気をもたらしてくれることではないでしょうか。


↑チェリーの天板
ステンレスに感じる冷たさとは対照的な温もりがあり、何よりカッコいい。
木製天板を選択する上での不安は、綺麗に使うことの難しさやメンテナンスの大変さをイメージされることが多いかもしれません。
キッチンの天板に限らず本物の木を使った家に住んでいる方であれば「いつの間にか黒いシミができてしまった!」と驚かれた経験はないでしょうか?
その黒ずみ、カビや汚れではなく、「化学反応」が原因かもしれません。
■ なぜ黒くなるの?原因は「タンニン」と「アルカリ」
木材(特にオークや栗など)には、「タンニン」というポリフェノールの一種が含まれています。

このタンニンは、「アルカリ性」の水分と触れ合うと非常に酸化しやすい状態になり、空気に触れることで黒色の物質に変化して木の繊維に沈着してしまいます。これが黒いシミの正体です。

■ 要注意!身近に潜む「アルカリ性」の意外なアイテム
アルカリ性と聞くと強い薬品をイメージするかもしれませんが、私たちの身の回りには、重曹をはじめとするアルカリ性のアイテムがたくさん潜んでいます。
- 洗剤系:油汚れ用キッチン洗剤(マジックリンなど)、ガラスクリーナー(ガラスマジックリンなど)、食洗機用洗剤、粉末の洗濯洗剤
- エコなお掃除用品:重曹水、セスキ炭酸ソーダ、アルカリ電解水
- 食品関連:なんと「こんにゃくの袋に入っている水」も、こんにゃくを固めるための石灰水が含まれており、強いアルカリ性です。ピシャッと飛んだ水滴が黒い斑点の原因になります。
- 日用品:固形石鹸(ウタマロ石けんなども含む)、入浴剤の残り湯
見分けるポイントは、製品の裏側にある「液性」の表示です。「アルカリ性」または「弱アルカリ性」と書かれているものは、すべて木製天板を変色させるリスクがあります。
木製天板の上でこれらのアルカリ性アイテムを使用する際は、必ず下にマットを敷くか、万が一こぼしてしまった場合は**「すぐに拭き取る」**ことが最も大切です。
今回私は、わらびのアク抜きをしようとバットに重曹水とわらびを入れて一晩放置した結果、それが漏れており悲惨な状態で朝を迎えました。
木製天板にアルカリがダメであることは聞いていたのでバットの下にタオルを敷いていましたが、そのタオルの模様がくっきりシミとなっています。


↑焦りすぎて発覚直後の写真を撮れませんでしたが、こちらが応急処置を開始した時点です。
■やってしまった後の対応
もし黒変してしまっても、絶望する必要はありません!アルカリ性で黒くなったシミは、「酸性」で中和することで元の色に戻すことが可能です。

【準備するもの】
- 糖分の入っていない酢(糖分があるとカビの「エサ」になる、「ベタベタ」が残る、仕上げのオイルが塗れなくなる)
- キッチンペーパー(または布)とラップ
- メンテナンス用オイル(えごま油、亜麻仁油、専用ワックスなど)
【色を戻すステップ】
- 塗布・パック:シミの上に穀物酢を浸したキッチンペーパーを置き、上からラップをかけて密着させます。
- 様子を見る:パックの時間経過に伴いシミが薄くなっていきます。放置しすぎると酸で木が変色することがあるため、時々めくって確認してください。
- 水拭き・乾燥:色が戻ったら、酢が残らないよう濡らした布で念入りに水拭きし、しっかり乾燥させます(半日〜1日程度)。
- 仕上げのオイルメンテナンス(重要!):酸で中和した後の木材は油分が抜けてカサカサになっています。必ずメンテナンス用オイルを薄く塗り、30分ほど置いてから乾拭きして保護してください。
※検索するとクエン酸を使った方法が出てきますが、一般家庭にクエン酸を常備している方ばかりではないと思うのでどの家庭にもありそうな酢を使った方法でご紹介しています。
※シミが深く浸透している場合は、「乾燥→軽くサンドペーパー(400番以上)がけ→再度酢」を繰り返すと綺麗になります。

↑発覚直後が濡れており、翌朝は乾燥状態なので明確な差を伝えるのは難しいですが、酢による応急処置をしなければもっと濃くシミが残ったと思われます。
■ おわりに
木製天板は、少しの知識と正しいお手入れで、美しい経年変化を楽しむことができます。もしもの時の対処法を知っておけば、より安心してお使いいただけるはずです。


