収納と同じくらい人気があるのが、回遊動線です。
ぐるぐる回れる間取り。
玄関から洗面へ行ける。
キッチンから洗面へ抜けられる。
リビングからも回れる。
行き止まりがないことは、たしかに便利そうに見えます。
しかし、回遊できるということは、その分だけ通路が増えるということでもあります。
通路は、基本的に居場所にはなりません。
ソファを置く場所でもない。
ダイニングテーブルを置く場所でもない。
本を読んだり、くつろいだりする場所でもない。
小さな家で無理に回遊動線をつくると、通路ばかりが増えて、肝心のリビングや収納が狭くなることがあります。
これは本末転倒です。

回れることが大事なのではありません。
暮らしの中で、無駄な移動が少ないこと。
落ち着いて過ごす場所が、通過動線になっていないこと。
こちらの方が大事です。
住宅設計の名手である飯塚豊さんは、空間を有効に使う考え方として「クローバー動線」を提唱しています。
クローバーの葉のように、中心となる場所から各スペースが枝分かれしていく考え方です。
無理にぐるぐる回らせるのではなく、移動のための廊下を最小限にしながら、各場所へ自然に行けるようにする。

この考え方の良いところは、リビングが通過動線になりにくいことです。
リビングは、家族が落ち着く場所です。
そこを通路にしてしまうと、いつも人が横切る空間になります。
広さはあっても、なんとなく落ち着かない。
良い動線とは、たくさん回れることではありません。
居場所を邪魔せず、必要な場所へ自然に行けることです。
家事動線よりも、衣類動線を考える
「家事動線」という言葉もよく使われます。
特に多いのが、キッチンと洗面・洗濯スペースが近いプランです。
料理をしながら洗濯もできる。
水回りがまとまっていて便利。
そう説明されることがあります。
もちろん、水回りを近くにまとめること自体は悪くありません。
配管も短くなり、コスト面でも合理的です。
ただし、本当に暮らしに合っているかは別の話です。
そもそも、料理をしている忙しい時間に、洗濯機を何度も見に行くでしょうか。
今の洗濯機は全自動です。
乾燥機を使う家庭も増えています。
キッチンと洗濯機が近いことよりも、むしろ大事なのは衣類動線ではないでしょうか。
洗濯する→乾燥する→畳む→しまう→着替える。
この一連の流れがどうつながっているか。ここを考えた方が、現代の暮らしには合っています。
よくある総2階建てのプランで、1階にお風呂場と脱衣所を設け、2階の個室にそれぞれのクロゼットを設けたプラン。これだと洗濯脱水した衣類をどこかしらで乾かし、2階まで運ばなければとなります。(それもそれぞれの部屋まで運び分けする)
結局、片付けが面倒になり、1階の片隅に山になっているときが多くなります。
網川原モデルハウスでは、2階に一連の衣類関連のスペースを集約し、1階の居住エリアと衣類を分けていて散らかりにくいプランです。
「家事動線」という言葉は便利です。
ただ、言葉だけが一人歩きしてしまうと、本当に必要な動きが見えなくなります。
キッチンと洗濯機を近づけることが答えだとは限りません。
毎日の暮らしが楽に、整うことが目的です。

