前回のコラムでは料理について書きましたが、新潟に移住してよかったことランキングを作るなら、間違いなく上位に入るのが「ご飯がおいしいこと」です。
お米だけじゃなく、「なんで全国区じゃないの?」と思う食べ物が、新潟にはたくさんあります。
今回は、移住してから出会った「新潟の味」について書いてみようと思います。
こんな食べ方があるのね、栃尾の油揚げ
実は私、栃尾の油揚げを初めて食べた時、少しだけ時間が巻き戻った感覚になりました。
東京に住んでいた頃、当時の会社の上司によく連れて行ってもらっていた居酒屋があったのですが、後から調べたら、そこが新潟料理のお店だったのです。
その時に食べていたのが、分厚い油揚げに味噌が挟んである料理でした。
新潟に来てから、
「あれ、栃尾の油揚げだったんだ!」
と気づいたのです。
なんだか、“伏線回収”みたいで面白い。
あの頃の私は、まさか数年後に新潟へ移住するなんて思ってもいませんでした。
でも今思うと、あの時からじわじわ新潟に慣らされていたのかもしれません。
しかも新潟の人、そこに納豆まで挟む。
初めて見た時は「大豆に大豆!?」みたいな衝撃がありましたが、これが美味しい。
今では県外から友人が来ると、かなりの確率で食卓に登場するメニューです。

のっぺには、“うちの味”がある
のっぺとの初めての出会いは、新潟に移住して最初に勤めた会社でした。
ある日、会社の先輩がタッパーに入れて持ってきてくれたのです。
「はい、のっぺ」
聞いたことのない名前すぎて、一瞬なにも想像できませんでした。
食べてみると、
「なにこれ!?筑前煮?煮物?汁物?でも美味しい!」
と、頭の中がかなり忙しかった。
しかも後から知ったのですが、のっぺって、新潟ではお正月やお祝いごとの時にも食べる定番料理らしいのです。
居酒屋のお通しで普通に出てくるのも、最初はかなり驚きました。
さらに面白いのが、家庭によって具も味も全然違うこと。
鮭が入っていたり、いくらが乗っていたり、「うちののっぺ論」がちゃんと存在する。
こういう、“各家庭にちゃんと歴史がある料理”に、私はめちゃくちゃ弱い。
そんなのっぺですが、今では料理教室で習ったおかげで、新潟生まれ新潟育ちの友人に「ちゃんとのっぺ!おいしい!」と言ってもらえるくらいには、自分の得意料理になりました。
▲私ののっぺはお汁が多めでサラッとタイプ
新潟の人、枝豆をザルで食べる
皆さん、枝豆が食卓に出てくるとしたらどのくらいの量ですか?
「小鉢にこんもり」というイメージを持つ人がほとんどだと思います。
でもね、新潟の人、ザル(ボウル?)で食べるんですよ。
新潟に移住して仲良くなった友人が、枝豆農家をやっているのですが、彼に出会ってから我が家の枝豆消費量がグンと上がりました。
もうね、とびっきり美味しい!
しかも枝豆の種類ってたくさんあるんです。
この新潟の枝豆を食べてほしくて毎年、県外の友人宅に送ってるのですが、初めて送った時1kg送ったら「こんなに枝豆どうすればいいの?」と連絡がきました。(笑)
正直、新潟では1kgくらいだと“おやつ”感覚です。
枝豆の概念が変わりますよ。本当に美味しいから。
ちなみに友達の枝豆農家さんはこちら▶︎髭とロン毛の農家
▲ある日の夕食。この量、子供達だけでペロリ。
新潟の春は、だいたい草を食べている
新潟の人たちは、春になると山へ向かいます。
そう、山菜採りです。
新潟に来るまで、私は山菜に一切興味がありませんでした。
というか、そもそも山菜を食べる機会がほとんどなかった。
だから、「春になったら山に行く」という文化そのものが、かなり新鮮だったのです。
しかも私の友人には、“山菜狂”が二人います。
友人Aは、キャンプへ行くたび、その辺から食べられる草を採ってきます。
そして嬉々として草をむしゃむしゃ食べる。
「山菜はね!湯がいて食べるだけで最高なんだから!」
と熱弁されるのですが、当時の私には、ただ雑草を食べている人にしか見えませんでした。
一方、友人Kは、ある日突然大量の山菜料理を持ってきて、
「食べ比べして!」
と言う。
もはや春限定の山菜ビュッフェです。
▲友人が持ってきてくれた山菜たち。全然名前覚えられない。
そんな“山菜狂”の友人たちにいろんな山菜を食べさせてもらううちに、私も少しずつ山菜の美味しさが分かるようになってきました。
そしてある春、仙台から遊びに来た家族に山菜料理を出したところ、大喜び。
「仙台で買ったら高いんだからね!」
と言われ、私はその時初めて、自分の家族にも“山菜狂”の素質があったことを知ったのでした。
先日、オープンガーデンをした時のこと。
我が家の庭に植えてあるギボウシを見たお客様が、
「これ、おいしいのよね〜」
と言うのです。
え、食べるの?
さらに私が、
「秋になるとセイタカアワダチソウが怖いんです〜」
と言うと、別のお客様が、
「あら、天ぷらにすると美味しいのよ!」
と教えてくれました。
新潟の人たち、“食べられる草”への信頼が異常に厚い。
▲山菜狂、友人Kに山菜が食べられるお蕎麦屋さんに連れてってもらった
新潟の味は、人づてにやってくる
移住したばかりの頃の私は、新潟の食といえば「お米が美味しい」くらいの知識しかありませんでした。
でも実際に暮らしてみると、新潟の食の魅力って、ただ“美味しい”だけじゃなかった。
「これ食べてみなよ」と誰かが持ってきてくれたり、
「こうやって食べるんだよ」と教えてもらったり、
気づけば私は、人とのやり取りごと新潟の味を覚えていった気がします。
だから今では、県外から友人が来ると、とりあえず枝豆を山盛りにし、栃尾の油揚げを焼き、のっぺを作り、「新潟って美味しいでしょ?」と半ば強引に布教しています。
気づけば私は、新潟の味を覚えたというより、周りの人たちに次々と食べさせられながら、この土地になじんでいったのかもしれません。
次回は、「移住先での子育て」について書いてみようと思います。
「移住先で子どもを育てるのは大変でしょ?」とよく聞かれるので、本当にそうなのか、我が家なりに考えてみます。

