「移住」というテーマで書き続けるうちに、気づいたことがあります。
移住って、案外いいことだらけなんじゃない?
不便なことより、「移住したからこそ手に入ったもの」のほうが、ずっと多かった。
今回は、そんな「知らないという特権」の話です。
知らないから、出会えた。
移住してまず始めたのが職探し。
当時は三条市寄りの新潟市に住んでいたので、三条市周辺で仕事を探していました。
そこで紹介してもらったのが、長岡市の少し外れの場所にある会社です。
でも当時の私は、その住所を見ても場所のイメージがまったく湧きません。
「長岡って三条より都会っぽいよね!車で40分くらいか。全然通えるじゃん!」
当時の私は、Googleマップだけが世界のすべてでした。
そんな軽いノリで応募した会社は、実際に通ってみると朝は片道1時間近くかかる、なかなかのハードモード。
Googleマップは「40分」と教えてくれましたが、「毎日となると、まあまあしんどい」ということまでは教えてくれません。
後から知ったのですが、地元では「遠いから」と敬遠する人もいたそうです。
でも私は、その評判を知りませんでした。
だからこそ会社そのものを見て、「ここで働きたい」と思えたのです。
気づけば、その会社で10年間働いていました。
今でも「あの会社を選んで良かった」と思っています。
あの頃の私、土地勘なくてよかった!
知っていたら、たぶん応募していませんでした…(笑)
▲新潟にある離島・粟島。何も知らなかったからこそ、「行ってみよう」と思えた場所。
あとで新潟の人に聞いてみると、「実は行ったことがない」という人が意外と多くてびっくり。
知らないから、選べた。
地元には、長年暮らしているからこそ共有されている情報があります。
「あそこの学校は○○らしい。」
「あの地区は昔から○○。」
「あのお店は○○。」
良くも悪くも、その土地の”常識”です。
でも私は、そのどれも知りませんでした。
だから、誰かの評判ではなく、自分の目で見て決めるしかありません。
保育園もその一つ。
「近いから」でも、「自分が通っていたから」でも、「○○さんに勧められたから」でもなく、先生たちの雰囲気や娘たちとの相性を見て、「ここがいい」と思える場所を選びました。
今振り返ると、それは移住者だったからこそできた選び方だったのかもしれません。
知らないから、自由だった。
「新潟の人、私のこと誰も知らない!最高!」
私は知り合いが一人もいない土地で、開放感を味わっていました。
人は自由を手に入れると、まず身だしなみを捨てるようです。
すっぴんでも、髪がボサボサでも、スーパーくらいなら部屋着でも…(笑)
だって、誰も私のことを知らないから。
「○○さんの娘」でもなければ、「学生時代は○○だった人」でもない。
ただの私です。
もちろん、移住して10年以上。
今では顔見知りも増えて、銭湯に行くのもちょっと抵抗が出てきましたが、オバさんパワーという便利な能力を手に入れたので、気にしない気にしない。
移住する前は、「知り合いがいないこと」が不安でした。
でも今思えば、誰にも過去を知られていないからこそ、「今の自分」で人とつながれた。
それも、移住者だからこそ味わえた特権だったのかもしれません。
▲こういう地元のお祭りも、当時は知り合いゼロ。(笑)気兼ねなく楽しめました。
知らないから、仲間ができた。
不思議な話なのですが、移住者として暮らしていると、なぜか同じ移住者がすぐわかるんです。
「あ、この人も移住者だ。」
根拠はありません。
でも、ほぼ当たります。
これこそビビビです。
移住者だけが持っているレーダーでもあるのでしょうか。
同じ移住者に出会うと、こちらのテンションは一気に上がります。
「どこから来たんですか?」
この一言で、一気に距離が縮まります。
あとは雪の話をして、なんで新潟に来たのかを聞いて、「今度ご飯でも行きましょう」までがワンセット。
気づけば、初対面とは思えないくらい話が弾んでいます。
だからでしょうか。
新潟で仲良くなった友達を思い返してみると、半分くらいは移住者。
同じようにこの土地を選んだというだけで、勝手に親近感が湧いてしまいます。
これもまた、移住者だけが味わえる特権なのかもしれません。
▲私たち全員、移住者!今日も新潟を楽しみまくっています。
だから私は、移住してよかった。
移住する前の私は、「知っていること」が安心だと思っていました。
でも実際は、「知らないこと」が、私の世界を広げてくれました。
「知らない」は、不安じゃなく、可能性でした。
あの日の私が何も知らなかったから、今の暮らしがあります。
あの日、思い切って一歩踏み出してよかった。
今は、心からそう思っています。

▲移住したばかりの頃は、夫婦でよく十日町の大地の芸術祭に出かけていました。
もうすっかり夏のような日が続いていますね。
雪国だけど、夏はとっても暑い新潟。
次回は、「猛暑から逃げろ!」な話です。


