キッチンの基本を考える

住宅設計
相模 稔相模 稔

建売が売れるための人気のキッチン

マーケティングの世界では、
売れるためには「差別化する戦略」が重要とされています。
具体的には住宅においては、「1点集中」で勝負という戦略があります。

数年前に、建売業者の営業マンから聞いたことです。
建売だから、量産型のローコスト住宅なのですが、
キッチンだけは 奥様に一番人気のクリナップのクリン・レディにしているという。

(2018年9月から、クリンレディは廃盤となり後継ブランドはステディアとなりました)

購入を検討している奥様は、まずはキッチンを見るそうで、
逆に言うとキッチンぐらいしか見ていないから、
キッチンがグレードが良いものが入っていれば、
家全体が良いものなのだろうと、勝手に思ってくれるとの事。

だから安い建売と思われないように、
1点集中攻撃! キッチンだけは安いものを入れないと言っていた。

金がかかったキッチンが最高なのか?

ではどんなキッチンが理想なのか?
建売の予算的な真逆は 豪邸である。

高級メーカーの金のかかったオーダーキッチンを
選べば理想が手に入るのか?

天井高の高い空間に、
TOYOキッチンのハイグレードなフルフラットキッチンを
置くのが良いキッチンのゴールなのか?

*写真:モダンリビングより転載

豪邸のインテリア専門雑誌
「モダンリビング」のダイニングキッチンの
シーンを想像してしまった。
にわかに成功した人々のあこがれる
ラグジュアリーなスタイルである。

堀部さんの2つの事例に見るキッチンの在り方

さてさて本題です。
今年になって堀部安さんの設計した
つくば住宅博でのバンガードハウスと、


福岡の斉藤工務店x堀部さんコラボの、
fcaモデルハウスを見学することができた。
(その節はアテンドくださったT様、ありがとうございます。)

その共通項はなにかというと、
キッチンが実はパナソニックあたりの
一般的なグレードのものを使っていたことです。

1億~2億の豪邸も手がけている堀部さん。
ただ総合住宅展示場に来る一般的な方向けに、
出した答えがこれである。
先述の建売業者の発想と真逆の発想である。

キッチンの基本を考える

また、調理をしながらテレビや、
遊んでいる子供が見られるようにとの理由で、
対面式キッチンが要求されることが7割位で発生するが、

いずれの堀部さんの物件は、対面式ではなく、
壁向きで、窓からは外の緑が見ることができる。
空間全体の中でキッチンが備わっていて、
無駄に大きすぎず、実用本位なスケールでちょうどいい。

子どもが悪さしないかハラハラしながら調理をするよりも、
緑の景色に癒されながら調理をした方が
よっぽど気持ちがいいでしょう?とでも言いたいような。

使いやすく。そして作る人の、そこに立ったときの
ホッとしたり やる気が出たりの
心の有り様を設計にしている。

「家を建てる」ということになると、つい気合が入りすぎて、
思い入れが先行し、全体のバランスを欠くことは
たびたび起こってしまう。

そこで基本に立ち返り、
一番大事なことは何なのか?
思い起こすことが一番大事だと思うのです。

相模 稔
代表取締役

相模 稔

オガスタの社長。 工務店経営のほか講演活動なども行う。 アメブロ「おーがにっくな家ブログ」もよろしく。

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