全館空調冷房で「思ったほど湿度が下がらない。」ことへの対策

住環境・健康
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暑い!には 2つの熱がある

ヨーロッパ人が日本の夏を経験して、
みんな疲弊してしまうのは、日本の夏は蒸し暑いこと。

温度が高いのだけでなく、湿度が高いことによる不快感。
熱とは、顕熱と潜熱とに分かれていて、

(イラスト:fukafukanet.com より転載)

温度計で測ると上下する「室温」の熱は顕熱。
顕熱は「温度の変化に出てくる熱」になります。

潜熱とは水が水蒸気へと状態変化する際に必要な熱で、
温度計には表れない。「状態そのものが熱」だということ。

同じ温度の空気でも、湿度が高い(水蒸気が多い)分だけ、
潜熱が多く、合計として暑いことになる。

*たぶん読者の過半数はここで脱落すると思うけど気にせず進みます。

エアコンで湿度を下げるメカニズム

だから、エアコンで冷房している場合は、
室内機になるアルミのフィンが冷やされて、
水蒸気は結露で水へと状態変化することで、
結露水が屋外へ排出されて、潜熱が取り除かれる。

同時に、空気は冷やされて温度が下がる(顕熱が下がる)

エアコンの働きは、この2つのことが同時に行われている。

(図:パナソニックより)

繰り返しになるが、具体的に確認すると、
湿度が高いそのものが「潜熱」だから、
同じ室温であっても、湿度が高い方が熱く感じてしまう。

だから、仮に27度の室内の室温でも、
湿度が70%の場合と、湿度55%では全く快適さが異なる。

絶対湿度は15gまでに

だから、蒸し暑さの目安を、相対湿度ではなく、
その空気に含まれている「絶対的な水蒸気量」で
考えることを上級者はよくしている。
1立米あたりに含まれる水蒸気のグラム数で表し、
それを「絶対湿度」という。

具体的には、夏場は12g位が理想だそうで、
仮に外気温が、32度で湿度70%の時は23.6gになる。
これが外気の絶対湿度。
それが室内に入り、エアコンによる空調で、
室温が27度で湿度が46.6%になれば、12gになる。

つまり、外気の23.6gの水蒸気量を、
家の中で12gになるまでに、
水を絞り取らなければならないことになる。

ここまでの低湿度にすることは、かなり困難なので、

現実問題としては 15gまでを目標にしようという有識者が多いです。

簡単に、露点温度・絶対湿度などの計算するアプリは

HPにてかつて紹介していたのでリンク張っておきます。

窓の結露する温度湿度を知る方法

1種全熱交換換気が有効だ

全熱交換換気を使うことで、
排気の空気に、入ってこようとする水蒸気を
2/3移し替えることができるので、
3種換気よりも、1種全熱換気は、外の水蒸気を入れにくい。

しかし、生活するうえでも、室内に水蒸気は発生する。

こうして、まだ大量に残る水蒸気を、
エアコンの冷房により、搾り取った結果が、室内の湿度になる。

日経ホームビルダーの2019年10月号、全館空調特集の、掲載事例でも、
オガスタの「中之島の家」のケースは、3種換気であったので、残念ながら
高温多湿な時期に、湿度50%台までは下げられませんでした。

他の2つの事例でも50%にはなりにくく、全館冷房時の課題とされていた。

 

夏エアコン負担が低い家も、湿度が下がらない

今年の夏、他の1種換気を用いたお客様のケースでも、
なかなか60%を割り込めない事例が、かなり観測されました。

その原因は、エアコンの冷房が均衡すると、
「潜熱」を取り除くまでの稼働になっていないことが原因の一つです。

夏にエアコンを冷房して、
設定温度の27度になったならば、

冷房負荷とエアコンの出力の状態が釣り合ったことになります。

その際に、エアコンの噴き出し口からの温度が20度だとします。

露点での結露が終えて、相対湿度が95%とすれば、
吹き出し口の空気の絶対湿度は16.4gある。

その空気が室温の27℃になれば、相対湿度は62%になります。

つまり、軒やスダレなどで、適切に日射遮蔽がされ、冷房負荷が低い家は、
エアコン室内機の熱交換器の温度が十分下がり続けないために、
結露の除湿が止まってしまいます。

こうした状態の住宅が多かったようです。

 

温度設定をさらに3度下げれば、室内機側で結露してくれて絶対湿度は下がるけど、
室温も24度まで下げようとして、涼しいを通り越して、寒くなってしまう。

 

2台のエアコンで再熱除湿をする

有効な方法としては、家全体で、二台のエアコンでの再熱除湿冷房を行う方法があり、
実際にそれを行っている一部のマニアックなユーザがおり、
かなり満足度が高いようです。

2階エアコンは冷房を行い、床下エアコンは暖房を行う。 床下エアコンの熱により、2階のエアコンの冷房負荷が高まり、除湿量が増えて、絶対湿度が低下するという原理です。

しかし、冷房と暖房を同時にすることへの罪悪感を伴う人もいます。

そのような方には、外のすだれなどの遮蔽を調整し、
室内に熱を取り込む方法があります。

しかし、太陽の向きや温度の変化など、
こまめに手動で調整する必要があり、現実面ではかなり困難であることでしょう。

エアコンのサーモ任せで自動制御するのが簡単です。

ソーラーパネルを搭載している場合は、
冷房の電気は、自家消費になるために罪悪感は軽くなります。

1種換気で換気を絞る

新住協の総会でもこの課題が話し合われました。

鎌田氏から 真っ先に指摘されたことは、換気風量です。

冬においてもそうですが、過剰に換気されているから

外の水蒸気が室内に侵入する。

一時間0.5回転でなく、 問題が出ないであろう

0.3回転まで換気を絞ることが、最初にすべきことだと指摘がありました。

当然、衣類の室内干しはしないし、

キッチンフードの換気扇のつけっぱなしもだめです。

ダメ押しとして、ふろの残り湯は、夏はさっさと捨てて外へと熱を追い出すことも微々ですが有効です。

夏も冬も原理は一緒。 一同、激しく同意しました。

以上の内容は、来年の夏に参考にしてください。

いずれにしろ、建物の断熱性能が高ければ高いほど、
冬と同様に、夏も温度と湿度の制御が、よりしやすいことであることは間違いないです。

余談ですが、オガスタの事務所は、
パソコンなどの内部発生熱が大きいために、冷房負荷が大きく、
相対湿度が40%代までに下がり、快適でした。

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