住宅価格が、じわじわと上がってきています。
先日、Xでこんなアンケートを取ってみました。
「この会社で家を建てたい。けれど見積もりが数百万円高かった。さて、どうするか?」
選択肢は4つです。
① 建物を小さくする
② いろいろグレードを下げる
③ 借り入れを増やす
④ よその会社に切り替える

結果として、もっとも多かった答えは「① 建物を小さくする」でした。
実際、統計を見ても、住宅の延床面積は小さくなる傾向にあります。
私たち新住協でも、総2階建ての小さな家をテーマに、全国の会員から優れた設計事例を募集し、プラン集をつくろうという動きが進んでいます。
歴史を振り返ると、「最小限住宅」という考え方があります。
代表的なのが、増沢洵が1952年に設計した自邸です。建坪9坪、延床15坪。生活に必要な機能をコンパクトに凝縮した、機能的でシンプルな住宅設計でした。
戦後の資材不足という背景の中で、「規格寸法」や「正直さ」「経済性」を追求しながら、それでいて吹き抜けなどを用いて空間の狭さを感じにくくした。今見ても学ぶところの多い名作だと思います。
9坪ハウスとは、3×3間の1階面積が9坪ということです。
これを総2階にすれば18坪。さらに吹き抜けを設けて、2階部分が6坪であれば、延床面積は合計15坪になります。
そのオリジナルの9坪ハウスを、小泉誠さんが現代的にリメイクした「スミレアオイ・ハウス」もよく知られています。

そして、オガスタでも実際に9坪ハウスを建てています。
オガスタの9坪ハウスは、一人暮らしの方のための住宅です。そうした前提であれば、十分に快適に暮らしていただける住まいになっていると思います。

では、現代における「小さな家」とは、どのくらいの大きさが標準的なのでしょうか。
調べてみると、優れた住宅作家の方々は、ほぼ同じようなことをおっしゃっています。
永田さん、伊礼さん、飯塚さん。いずれも、標準世帯が不自由なく快適に暮らせる広さとして、30坪程度を挙げています。
たとえば、3×5間の総2階なら30坪になります。
あるいは、4×4間の真四角のプランでも、ほぼ同じ外壁面積で成立します。こちらなら32坪。とても合理的な「小さな家」と言えるでしょう。
オガスタでも、創業初期には、この2つのようなシンプルで合理的な間取りの家を数多く建ててきました。

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そう考えると、最初のXでの質問は、まさに今、多くの人に突きつけられている問いなのだと思います。
もちろん、何が正解という話ではありません。
やはり、広さがもたらす価値は大きい。
30坪という十分な広さを確保したうえで、内装や設備のグレードを少し落とす。そういう考え方もあるでしょう。
その場合でも、断熱性能と耐震性能だけは譲れない、と考える人は多いはずです。
一方で、空間の質や素材感、設備の使い心地を落としたくないから、あえて小さく暮らすという選択もあります。
23坪程度のコンパクトな家でも、暮らしていくこと自体は十分可能です。


(23坪のヴァンガードハウス)
ただし、その場合は「ものとの関係」を見直す必要が出てきます。
収納や空間に余裕がないということは、自然と持ち物を絞り込んだ、ミニマムな暮らしが求められるということでもあるからです。
広さを優先するのか。
空間の質を優先するのか。
あるいは、その間のどこかに自分たちなりの答えを見つけるのか。
さあ、あなたはどちらを選びますか。
