リノベ希望者は増えてきている
最近、「中古住宅を、自分たちらしくリノベーションしたい」というご相談が増えています。
数年前は、住宅相談の5件に1件がリノベについてであったのが、直近では3件に1件という肌感覚です。
それくらいリノベ希望者が増えているのは、「新築工事が高くなった」という認知と、
なんだかんだ、「使っていない家があるので」リノベで住めるならそれがいいという理由。
新潟でも人口減少局面になり、空き家が増えてきているからなのでしょう。
ところが2025年の建築基準法改正以降、以前であれば普通にできていた大規模リノベーションが、簡単には進められなくなってきました。
しかし、このことは一般の方にはほとんど知られていません。
実は建物が建てられた年代によって、工事の難易度が大きく変わる時代になっています。
築40年以上の住宅は、ある意味分かりやすい
1981年以前に建てられた住宅は、いわゆる「旧耐震基準」の建物です。
耐震性能が現在の基準とは大きく異なるため、本格的なリノベーションを行う場合には、耐震補強を前提に考える必要があります。
全面的に劣化も進んでいるし、建て替えを選択した方が合理的なケースも少なくありません。
そのため、実は判断は比較的シンプルです。
問題は、その次の世代です。
本当に難しいのは「築25~40年」の住宅
1980年代後半から2000年前後に建てられた住宅。
この世代の建物は、新耐震基準で建てられており、構造自体はまだ十分に健全なものが多く存在します。「まだまだ使える家」で、フルリノベに最適に見えますが、しかし、この時代の住宅には大きな落とし穴があります。
それは、
◎地盤調査の資料が残っていない
◎構造図がない
◎建築当時の資料がほとんど残っていない
というケースが非常に多いことです。

1978年に発生した宮城県沖地震で、多くの建物が大きな被害を受けたことを受け、それまでの基準(震度5程度で倒壊しないことを想定)では不十分であることが判明しました。
それで1981年に新耐震基準ができました。
しかし、建物は丈夫になっても、当時は軟弱地盤に対する理解が浅く、地盤改良工事に対する必要性は、施主の判断に委ねられていました。
「今まで何十年で住んでいた場所だから大丈夫」
「ベタ基礎にすれば大丈夫」
「お金がかかるから、そこまでしなくていいですよ」
営業の現場ではこのような会話がされていて、現代ではマストである地盤調査はあまりされていませんでした。
さて、こうした建物を、現代の基準に合わせた、大規模なリノベーションしようとすると、確認申請が必要になる場合があります。すると、
「この建物は安全に建っていることを説明してください」
というハードルが発生します。
ここで問題になるのが、地盤や基礎の情報です。
今まで30年以上問題なく建っていた家でも、資料が存在しないために、追加調査や追加工事が必要になる場合があります。
例えば、実は地盤は軟弱で、基礎の下に杭工事をする必要性が判明して、
大規模なアンダーピニング工事で対応する必要があるとなれば、1000万円程度の大規模な工事につながります。「想定していたより大掛かりになり、建て替えよりも金額が高くなる?!」
というケースも起こり得ます。
なので2025年の春からの基準法改定により、性能向上リノベの現場では、確認申請を回避する「過半に満たない範囲の工事で留める」動きへとなってきて、
「臭いものに蓋をする」、リフォーム業界でよく言われる「開けたら負け」のカバー工法が主流になっているのが現実です。これはかなりおかしなことではあります。
行政での運用的な改善がされない限り、本格的に性能向上リノベーションが、活発になるには、「2040年以降になるだろう」という識者の声もあります。
だから難しいリノベーションの判断
これからの時代は、
「全部スケルトンにして、まるごと作り変える」
というリノベーションだけが正解ではなくなってきます。
むしろ、
◎ 断熱性能を向上させる
◎ 耐震性を適切に高める
◎ 間取りを必要な範囲で改善する
こうした目的をもって、全部を壊さなくても、建物の良い部分を活かしながら性能を引き上げるリノベーションが、より重要になってくるでしょう。
中古住宅は「築年数」だけでは判断できません
中古住宅も、築年数というものさしで一概に判断できるものではありません。
現実として、我々は、築80年の立派な小屋組みの構造の家屋のリノベーション工事を進めています。物件の状況に応じた計画が存在します。
◎ いつ建てられたのか
◎ どんな資料が残っているのか
◎ 屋根裏に潜入し、床下に潜入して建物の状況を調査して
もろもろな情報を整理して初めて、その住宅の価値が見えてきます。
つまりは、従来以上にリノベーション工事の判断と、要求される技術が高度になったということです。

建て替える? リノベーションする?
ある住宅相談員の方から、こんな話を聞きました。
住宅相談にいらっしゃる方は、10人に1人は、建て替えるべきなのかリノベーションするべきなのか悩んでいると言う。
しかし、その判断を公正な立場でしてくれる会社が実に少ない。
大手ハウスメーカーに聞けば「建て替えろ」と言われるし、
リフォーム会社に聞けば「リフォームしろ」と言われる。
地元の大手住宅会社で、新築もリノベーションも対応しているところはあるけれど、
別会社や別部門になっていて、相談する相手によって答えが変わってしまう。
「ワンストップで、公正な立ち位置で、アドバイスできるところがほんとに限られてしまうんですよ。」そのように聞きました。
特に、リノベーションを前提とした中古住宅購入は、物件を契約してから悩むのでは遅い場合があります。購入前に建築の専門家が確認して、「思っていた通りにリノベできる家なのか」を判断してから購入したいと誰しもが思うはずです。
もし、「この中古住宅、本当にリノベできるの?」
「建て替えた方がいい?」と迷われている方は、ぜひ我々にご相談ください。
建物の年代や状態を踏まえながら、最適な選択肢を一緒に考えていきましょう。


