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「五十嵐の家L」お引渡ししました。

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塩谷 英一塩谷 英一

岬の庭の家

海へ下る坂道の途中にある、岬のような庭の家です。敷地は新潟砂丘の高台から海へ向かって下っていく斜面に位置し、程よい高低差をもつ場所です。分譲地の中で最後まで残っていた一区画でしたが、最後に残る場所には思いがけず良質な風景が潜んでいるものです。北向きの角地で、歪みのある不整形な敷地。その北側の下り坂へ向かって開かれた凸型の場所は、なんとなく岬のように感じられ、この敷地で最も大切にしたい風景でした。この風景と家とをつなぎとめるため、小さな屋根つきのテラスを設けました。人は遠くを眺めるとき、まぶたの上に手をかざします。このテラスの庇は、その仕草に似ています。49坪の敷地に延べ床面積25坪のコンパクトな総二階建ての四角い家ですが、この小さなテラスを持つことで、単なるシェルターを越えて風景に対する個性をもつことになり、坂道の風景との対話が始まることを期待しています。

外観と庭

北側と西側の二面接道、東側に擁壁、南側に隣家が接近しているため、本体の建物は背後の擁壁に寄せて平行に配置しました。その結果、歪んだ敷地と四角い建物との間に、不思議な形をした余白がいくつも生まれました。それらを庭や駐車スペースとして活用しています。家に付属した屋根・庇つきのテラスも、敷地の形状に寄り添うよう少し歪めています。この小さなテラスは建物から雁行させて北側の角に設け、建物と庭、そして風景との媒介となる場所です。テラスが建物を飛び出して庭に分け入っていくような形となり、そこには建物から少し突き出した岬のような場が生まれました。このように、コンパクトで四角い建物と歪んだ外構(敷地・庭・テラス)との間に生まれた複数のズレによって、この場所の風景に動きを与えることを目論んでいます。敷地がもともと持っていた程よい高低差はそのまま活かし、石積みや残土を再利用した築山、植栽によって庭を再構成しています。

内観

この家には三つの主要な開口を設けています。一つ目は、冬の日射取得のために南西面に設けた縦長スリット状の吹抜け開口。二つ目は、北側の柔らかな採光を取り込むための横長スリット状のハイサイド開口。三つ目は、北側の小さなテラスと庭、そして坂道の風景を取り込むための掃き出し開口です。延床25坪というコンパクトな家ですが、これらの大きな開口と吹抜けによって、広がりのある空間をつくり出しています。リビングの主要な壁一面は、施主によるDIYの左官仕上げとしました。吹抜けの落下防止は手すりを兼ねた本棚とし、空調による空気の流れがスムーズになるよう、面材ではなく線材で構成しています。また一部の木材の固定には楔(くさび)を用い、棟梁の大工技術をさりげなく見せていただきました。

お施主さん、この度はおめでとうございました。現場監督さん、大工棟梁、職方の皆さん、いつも心から感謝しております。どうもありがとうございました!

 

塩谷 英一
設計

塩谷 英一

設計部 設計統括 一級建築士

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