小学1年生の娘の夏休みが終わり、やっと一息ついております。
次女も保育園を休ませ、全力で3人で遊んだ今年の夏休み。
というわけで、このコラムもちょっとゆったりモードとさせていただき、今回は番外編です。
私は映画が好きです。
家を建てるときも、たくさんの映画から影響を受けたなと感じます。
今回は、そんな「私の暮らしに影響を与えた映画」、そして観るとちょっと移住したくなる映画をご紹介してみようと思います。
① リトル・フォレスト
移住映画のド定番ともいえる本作。
季節ごとに食べ物を作り、食べ、暮らしていく。
派手な成功も、劇的な展開もありません。
あるのは、「今日は何を食べるか」と「どうやってこの季節を暮らすか」。
そんな一日一日を「地味」と片づけずに、ちゃんとひとつの暮らしとして映してくれる作品です。
この作品と出会ってから、私は「旬」をより意識するようになりました。
食べ物そのもののおいしさだけではなく、季節によって変化する気温や湿度まで利用して、料理を作る。
そんな楽しさを知ったのも、この映画の影響です。
そして何より、「都会よりも田舎のほうがいいよ」という描き方をしていないところが、私は好きです。
自分がどんなふうに暮らしたいのか。
この映画は、そこを静かに考えさせてくれます。
とはいえ、私が実際にやっているのは、映画のような美しい保存食づくりではなく、冷蔵庫の中でそろそろ限界を迎えた野菜を慌てて使い切ることだったりします。

移住したくなる度 ★★★★★
旬を意識したくなる度 ★★★★★
ごはんを作りたくなる度 ★★★★★
② 海街diary
「こんなところに住みたい」と思わせる映画はたくさんあるけれど、『海街diary』はちょっと違う。
観終わったあとに残るのは、「こんなふうに誰かと暮らしたい」という気持ちです。
四姉妹が暮らす古い家には、縁側があって、庭には梅の木がある。
そして、誰かが帰ってくれば「おかえり」と言い、梅の季節には梅酒を仕込む。
私はこの映画を観ると、家族って、血がつながっているから家族なのではなく、一緒に暮らす時間によって家族になっていくものなのかもしれないと思います。
そして何より、この映画には人生を変えるような大事件がほとんど起こりません。
ごはんを食べる。
季節のものを仕込む。
誰かの話を聞く。
庭の手入れをする。
『海街diary』は、そんな「暮らしの積み重ね」を、とても美しく見せてくれる映画です。
そして私は、『海街diary』に憧れて縁側を作りました。
この間、庭友達と縁側に座って、どら焼きを食べながら庭を眺めていたとき、
「あ〜、海街diaryすぎる〜。最高〜!」
と、ひとりでかなり嬉しくなりました。
映画を観て憧れていた暮らしが、いつの間にか自分の暮らしの中にある。
こういう瞬間があるから、移住って面白い。

移住したくなる度 ★★★★★
縁側が欲しくなる度 ★★★★★
庭のある家に住みたくなる度 ★★★★★
③ 南極料理人
南極観測隊として働く8人の男たちが、南極の基地で共同生活をする話。
極限状態で助け合う感動作……かと思いきや、実際はごはんを食べたり、くだらないことで揉めたり、各々好き勝手に過ごしたり。
私は、このベタベタ干渉しない人間関係がすごく好きです。
仲間だからといって、何でも分かり合おうとしない。
ひとりになりたいときは、ひとりでいる。
でも、ごはんの時間になれば一緒に食べる。
そして、この映画のもうひとつの主役が、ごはん。
とにかく、めちゃくちゃおいしそうに食べる。
なのに、誰も「おいしい」と言わない。
これがまた最高。
「うまい!」と叫ばなくても、食べている顔を見れば、どれだけおいしいのかは十分伝わる。
(実はこれ、監督の狙いだったそうです。)
私も移住して、人とのつながりが増えたからこそ、人との距離感って大事だなと思うようになりました。
仲良くなるのは嬉しいけれど、ずっと一緒じゃなくていい。
挨拶して、ちょっと話して、たまに一緒にごはんを食べる。
人間関係も、ちょっと腹八分目くらいがちょうどいい。
距離は近すぎなくても、信頼はちゃんとある。
……まあ、そんなことを言いながら、この映画を観ると一番思うのは、
「堺雅人が作ったごはんが食べたい!!」
です。
あ、南極に移住したいわけではありませんよ。(笑)

移住したくなる度 ★★★☆☆
南極に行きたくなる度 ★☆☆☆☆
ごはんを食べたくなる度 ★★★★★
④ 人生フルーツ
「こんなふうに歳を重ねたい」と思わせてくれる映画。
建築家の津端修一さんと英子さんご夫妻の暮らしを追ったドキュメンタリーです。
ふたりの暮らしを見ていると、とにかく人を大切にする人たちだなぁと思います。
誰かが訪ねてくればお茶を出し、収穫したものを分け、相手の話を聞く。
それが「人のために何かしてあげよう」という特別な行動ではなく、いつもの暮らしの一部になっている。
そして、私はおふたりの庭との向き合い方が大好きです。
野菜や果物を育て、木々を眺め、落ち葉を集める。
庭を「きれいに完成させる」のではなく、季節と一緒に変化していくものとして楽しんでいる。
庭って、作ったら終わりじゃない。
植えて、育って、実がなって、枯れて、また次の季節がくる。
そんな時間そのものを楽しむものなんだなと、この映画を観て思いました。
私も庭を始めてから、季節の変化を以前よりよく見るようになりました。
そして、庭をきっかけに人と知り合ったり、庭友達ができたり。
気づけば私も、庭を「自分だけのもの」にせず、人と一緒に楽しむようになっていました。
『人生フルーツ』を観ていると、豊かな暮らしって、たくさん持っていることじゃなくて、人や植物や時間を大切にできることなのかもしれないと思います。
……なんて言いながら、私も庭をやり始めてまだ数年。
津端さんご夫妻のような境地には、まだまだ遠い。
とりあえず私は、今日も庭の草取りをします。

移住したくなる度 ★★★★★
庭をつくりたくなる度 ★★★★★
丁寧に暮らしたくなる度 ★★★★☆
映画を選んでいたら、結局こういうことでした
こうして4本を選んでみると、私はやっぱり、誰かと心でつながることと、ごはんをおいしく食べることに執着しているなと感じます。(笑)
そして、庭も好き。季節を感じることも好き。ひとりの時間も好き。
……こうして並べてみると、私が移住してやりたかったことって、結局こういうことだったのかもしれません。
移住したからといって、毎日が劇的に変わるわけではありません。
でも、映画を観て「こんな暮らしがしたい」と思ったことを、少しずつ自分の生活に取り入れていく。
縁側を作ったり、旬を意識してみたり、庭で人とおしゃべりしたり。
そして、南極には行かなかったり。
そうやってできていく毎日が、いつの間にか「自分の暮らし」になっている。
今回の4本は、そんなことを思い出させてくれる映画でした。
……さて、夏休みも終わったことだし、そろそろ通常営業に戻ります。
次回は紹介した映画にも出てくる、季節の手仕事について書いてみようかなと思います。


