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里山の風景を望む超高断熱住宅で、伸び伸びと暮らす

三条市旧下田村の里山に囲まれた集落の中にあるK邸を訪れた。

ゆったりとした敷地に家屋と畑が入り混じるのどかな場所で、K邸の北側の緩やかな斜面には田んぼが広がる。


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階の寝室の窓から眺める北側の風景。


K
邸のすぐそばには、粟ヶ岳を望むビュースポットが。

杉板の押縁張りの外壁で覆われた住まいは、そんな日本の山里の原風景のような土地に違和感なく溶け込んでいる。築後3年が経過し、雨風を受けやすい部分はグレーに変色し、より熟成された雰囲気をまとい始めていた。

 

セルロースファイバーに関するブログ記事で、オガスタを知る

現在30代半ばのKさんご夫婦が家づくりを考え始めたのは、まだ結婚前、県央地域のアパートで同棲をしていた頃だったという。ご主人の実家は本家で、長男であるご主人が家を継ぐことを決めていた。

そんな時に奥様が断熱材のセルロースファイバーに関する新聞記事を見つけたという。自然素材由来の断熱材で、防音性が高く、土に還る。環境のことも考えられた断熱材であることに興味を持ち、インターネット検索をしていくうちに、オーガニックスタジオ新潟のブログ記事にたどり着いた。

「その後オガスタさんの事務所を訪問して、当時小新にあったモデルハウスを見せて頂きました。最初に見に行った住宅会社だったのですが『他の会社もいろいろ見た方がいいですよ』というアドバイスを受け、その後住宅展示場などを見に行ったりもしました。でも、オガスタさんの家のデザインや空気感、色味や素材がすごく気に入って。基礎を断熱して床下から家全体を暖める『床下エアコン』にも魅力を感じていました」(奥様)

老朽化した旧居を取り壊し、豪雪でも暮らしやすい家に建て替え

建て替え前の家は築200年。元々は茅葺き屋根だった建物を直しながら住み継いできたが、床下が腐っていたり、家が歪んでいて戸が開かなかったり、雨漏りがしたり…。「とても直して住み続けられるような状態ではなかったです。冬は極寒で夏は灼熱でした。周囲には杉の木が並んでいて暗い雰囲気でしたし」(ご主人)。

そんな旧家を解体し、Kさんご夫婦とお子様、お母様が暮らす二世帯住宅を建てることにした。「今までのアパートの狭い部屋にストレスを感じていたので、開放的な家にしたいと思いました。また、本家で仏壇があるので仏間のある和室も希望をしていました」(ご主人)。

「あと、この辺りは冬の積雪が1.5mくらいになるんですよ。氷点下になる日も多く、同じ三条市でも市街地とは全然違う気候です。そんな環境でも暖かく暮らせる家にしたいと思いました」。


屋根に積もった雪を下ろす道具を持つ
Kさん。今年は雪が少なく、使う機会が少なかったそう。

そんな要望を受け、オーガニックスタジオ新潟が提案したのが、片流れ屋根の美しい佇まいの家だ。「多雪地域ということで、片流れ屋根にして、屋根に積もった雪がすべて南側に落ちるようにしています。日当たりのいい南側に落とすことで、雪溶けを早めています。間取りを考えるよりも、最初に屋根を考えて設計をしていますね」と話すのは、オーガニックスタジオ新潟の代表・相模稔さん。


落とし板がはめられた冬の
K邸。

屋根から落ちた雪は2m以上の山になる。その雪から窓を守るために、この地域では冬の間は「落とし板」で窓を囲うようにしている。K邸の場合は大きく伸びた庇を支える柱の間に落とし板をはめられるようにしているが、そのための等間隔の柱が外観にリズムを与えている。

「窓と落とし板の間に空間がありますし、吹き抜けから光が入ってくるので、落とし板で囲っていても家の中が明るいんですよ」とご主人。たしかに、落とし板で囲われた閉鎖的な外観のイメージとは異なり、家の中は自然の光であふれていた。


吹き抜けの明るいリビングで談笑する相模さんと
Kさんご夫婦。


家族
5人がゆったりと過ごせるLDK。キャメル色のソファが主張することなく空間に溶け込んでいる。

一方、玄関がある東側は広いポーチになっており、屋根で守られた空間は雪国の商店街に見られる雁木そのものだ。


そこには除雪道具やお子様のそりなどが並べられていた。
「冬はもちろんこの雁木に助けられていますが、冬以外も雨の日に出入りするのがすごく楽なんです」(奥様)。

 

自然素材と計画換気で、アレルギーが治まった

Kさんご夫婦がオーガニックスタジオ新潟の家づくりに興味を持ったのには、奥様が実家でシックハウスの症状に悩んでいたことも関係していたという。「実家では、目が痛くなったり体がかゆくなったりしていました。アパートで暮らしていた時も鼻炎に悩まされていたんです。でも、この家に住んでからはそういうアレルギー症状がなくなりました」(奥様)。

床には無垢材、壁には卵の殻を原料としたクロス「エッグウォール」を採用しており、冬場の暖房にはエアコンを使っているので石油ファンヒーターのように空気を汚すこともない。また、第一種換気システムで24時間計画的な換気がされているので、空気はいつもクリーンだ。

 2階の吹き抜けに面したホール。天井に張られたツガの羽目板が天井の勾配を強調している。


2室に分けることもできる子ども部屋は家族のフリースペース。


フリースペースの一角は奥様のミシンコーナー。外の景色を眺めながら作業ができる。


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階の寝室には一枚板のヘッドレストが付いたベッドが。


寝室と吹き抜けの間の窓には簾戸(すど)が使われている。

 

Q1.0を切る超高断熱仕様に床下エアコンを搭載

そして、この家の特徴の一つが高い断熱性能だ。窓は熱伝導率が極めて低い樹脂サッシ+トリプルガラスを組み合わせたYKKAP社の「APW430」を中心に使用し、窓の目隠しには断熱ブラインドのハニカムスクリーンを採用。

壁は通常の120mmの断熱材の外側に105mmの断熱材を付加(付加断熱)し、合計225mmという厚さにしており、屋根には300mm、基礎には100mmの断熱材を施すなど、徹底した高断熱仕様としている。断熱性能を示す「Q値」が1.0を切るという、新潟県の住宅としては驚異的な性能だ。

それにより、8畳分の大きな吹き抜けを持つ延床面積53坪の大きな住まいを、真冬でも2カ所に設けた床下エアコンで全館暖房できるという。床下エアコンは、断熱した基礎内をエアコンで暖めて、その暖められた空気を床の随所に設けたガラリから室内に取り込む仕組みだ。


リビングの造作収納の下に床下エアコンが隠されている。

「車のサイドブレーキが凍ってしまうくらい寒い日でも、玄関に入ると春みたいな暖かさなのが嬉しいですね。去年は床下のガラリを脱衣所の方にも追加したんですが、さらに家の中の温度ムラがなくなり快適になりました」と奥様。


豆砂利洗い出し仕上げの土間に、造作の下駄箱が味わいある玄関。ご主人が独身の頃から集めていたというラッセンの絵が迎えてくれる。

家の中を仕切る建具は、浴室のドア以外はすべて引き戸。そのため、戸を開けておけば家全体が大きなワンルームになるので、どの部屋も均一の温度になる。

リビングの隣にある和室には簾戸(すど)が使われており、この建具は閉じていても空気を遮断することがない。葦簀の柔らかい素材感が、和室を一層穏やかで心地いい場所にしている。

「床暖房と違って、床がじんわりとマイルドに温かいんですよね。無垢材の感触も気持ちいいので、家にいるときは冬でもはだしで過ごしています」とご主人。

開放的なつくりのため、子どもたちが家の中でいつも走り回っているという。「毎日家の中で走っているので走るのが好きになり、保育所の運動会で活躍しています(笑)」(奥様)。

ホールから見るダイニング。一直線に伸びる廊下はお子様たちが走り回るのに最適の場所。


大きな吹き抜けにより開放感あふれるリビング。


キッチンには使い勝手のいい造作家具が備え付けられている。棚にはお気に入りのカップや植物が並ぶ。



造作の洗面台や味わいのあるタイルが空間と調和している。

 

四季折々の表情を見せる田園風景を眺める暮らし

この家でご夫婦が気に入っているのが、ダイニングから眺める北側の田園風景だ。

「この土地を見た時に、この棚田の景色を楽しめる家にしたいと思いました」と話すのは施主のKさんご夫婦ではなく、オーガニックスタジオ新潟の相模さん。

「当初、私たちの方がこの景色の良さに気づかなかったんですよね。秋になると稲が実って黄金色の景色が広がり、真冬は一面の雪景色になります。朝靄が掛かることも多くて、幻想的な景色を眺めながら朝食を楽しめるようになりました」とご主人。


靄が掛かった美しい景色を暖かいダイニングから眺められる。(写真:
Kさん提供)

子どもたちが生まれる前は、夏になると友人たちとキャンプ場に出かけ、バンガローに泊まりながらバーベキューを楽しんでいたご夫婦。今は子どもたちがまだ小さいので、家の庭がキャンプ場代わりだ。

夏は友人たちを呼んでバーベキューを楽しみ、冬は庭に積もった雪で滑り台を作って遊ぶ。「大雪の後は、雪を掘るだけでかまくらが簡単に作れます(笑)」とご主人。


2018
年の冬は特に雪が多く、家が雪に覆われていた。(写真:Kさん提供)

周辺は車通りも少ないので、春や秋は、里山の景色を眺めながらのんびり散歩が楽しめる。「空気が澄んでいる夜は、2階から月や星がとてもきれいに見えるんですよ」(ご主人)。

家じゅうが暖かく心地いい上に、開放的で美しい風景も取り込める。そして、健康的な暮らしまでもが叶えられていた。

冬になれば雪かきに追われる日が続き苦労もあるが、晴れた日に現れる幻想的な風景は自然からの贈り物だ。

オーガニックスタジオ新潟の家に建て替えたことで、厳しい自然環境は美しい風景をつくり出し暮らしの質を高めてくれるものへと変化した。

ダイニングや2階の子ども部屋には、家での時間を満喫する家族の写真が飾られている。

さまざまな体験を楽しみながら成長をするKさん家族。

家はそれを叶える器として、家族を優しく包みながら佇んでいる。

文・写真  鈴木 亮平 (Dairy Lives Niigata)
取材時:2019年2月24日

K邸
三条市(旧下田地区)
延床面積 173.98㎡(52.63坪) 1F 114.49㎡(34.63坪) 2F 59.49㎡(18.00坪)
家族構成 夫婦+子ども2人+母
竣工年月 2015年10月

 

sumica vol.3 「下田の家」掲載

sumica vol.3 撮影「下田の家」で真夏のBBQパーティ!

里山の景色をとりこむ「下田の家」

 

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